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制作裏話

Part3.ゲームの方向性でも文句を言われ続けて

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[石川]:ずいぶん空いてしまいました。ごめんなさい。じゃあ、前回の内容を思い出しつつ・・・えーと、エレメンツに谷村さんが、いきなり電話してきたところでしたね。
こっちもなんか突然電話がかかってきて、まぁとりあえず話を聞くだけならないいかという感じで(笑)そのときに、もう企画案っていくつか持ってきてたんでしたっけ?

[谷村]:いや、ただ予算と、PCのシミュレーションゲームでやりたいという程度で。企画のテーマ案とかはまだその先ですね。

[石川]:で、その予算では、まともなゲームは作れませんよっていうのと、パソコンの今の市場こんなに厳しいですよっていう話を正直にして。「考え方甘いんじゃないんですか」みたいな説教までたくさんしてしまったような気がする(笑)。

[谷村]:そうですねー、あの時は、たしか、これくらいの金額で三本っていう話でもってきたと思ったんですけど。自分の中ではパッケージ以外でもいろんな展開が出来るんじゃないかなっていうことで、クオリティー以前に予算ありきで、これくらいの金額で三本作ってどうかなってことで。
まぁちょっと・・・石川さんからのご指導をいただきまして(笑)

[石川]:でも谷村さんはあきらめずに、じゃあどういう企画ならできるとかいう話がそこから始まったんですよね。いくつかアイディアがあったんですけれども、最初は空母戦を絶対にやろうっていう話じゃなかったですよね。

[谷村]:とりあえず一番最初にもってきたのがSF。
で、SF自体はやっぱりもってきた理由は、まぁいろんな制約にとらわれなく作りやすい、ゼロから作りやすいっていうことで。

[石川]:ところが、それも私がダメ出ししちゃった(笑)。SFってゲームデザイン的には腕をふるいやすいんだけれども、ゲームの内容やイメージが伝えにくいので、そもそも「おもしろそう」と思ってもらえなくて、プレイされない。 だから、買う人がイメージしやすい、ちゃんと絞り込める題材じゃないと、新興メーカーとしては非常に厳しい。

[谷村]:やっぱり素材としての弱さという話を聞いて、じゃあ考えていた案の中では空母ゲームかなと。


[石川]:空母戦のゲームはほとんど出ていなくて競合が少ない。それに空母という題材だと、対象年齢が高くなるだろうなと思ったので、逆にその層ならゲーム機ではなくパソコンでやる意味があるという部分も大きかったんですよね。

[谷村]:で、私の方から最初のゲーム案みたいなのを出したんですが、もってきたやつはボードゲームそのものに近いもので。

[石川]:この案にまた僕がボロクソに言って(笑)いまさら、パソコンでこんなボードゲームみたいなの今作ってどうするんですかみたいな。

[谷村]:駆逐艦二隻で一ユニットとかですね(笑)

[石川]:ボードゲームだったらコマの数を1マスにいれるために、をある程度減らさなきゃならないからそういう処理しなきゃいけないけど、このコンピュータでそんなことをする意味はまったくない。
ユーザーから「なぜ駆逐艦は二隻で一個なんですか?」って聞かれても答えようがないじゃないですかっていう。 移動システムもそうですよね。僕は空母戦やるんだったら絶対リアルタイムと思ってたんですけど、谷村さん的には当初リアルタイムに難色を示されていて。

[谷村]:そうですね。リアルタイムそのものが駄目っていうつもりはないんですけど、当時のユーザーの意識として、 Windows98がでてきた頃くらいから、「これからはリアルタイムの時代だ」みたいなワクワク感があったんですが、実際には、リアルタイムであることがめんどくさい、自分のキャパシティーを超えたゲームが多くて。
だからリアルタイムだから買いたくないとかいうユーザー層なんかもでてきた時期だったんで、そこでちょっと抵抗あったんです。

[石川]:たとえば索敵をするにしても、ボードゲーム的にたとえば1機を移動させて、それが終わったらまた次を飛ばしてみたいなことっていうのは、ボードゲームがわかってる人はそんなに違和感ないんですけど、普通の人にとっては現実との違い、イメージしにくいという問題がどうしてもでちゃうんですよね。
特に空母同士の戦いの場合、刻一刻と戦況が進んでいって、どっちが先に見つけるかとか、どちらが先に正しい情報を手に入れるか、みたいなところがおもしろさとして重要な部分だったので。

[谷村]:海外のゲームとかの体験で、キャパシティ内で操作できるようなものであれば、リアルタイムでもいけるような感じはしてたんですけど、 実際それをどうアピールするかとか全然見えなかったんですよね。

[石川]:なので、絶対リアルタイムにしたいです、そのかわり徹底的に谷村さんが懸念するような問題点というのはちゃんと排除した形で設計しますから、とりあえずリアルタイムでやらせてくださいっていってお願いしたわけです。

[谷村]:はい。

[石川]:ということで、とりあえず空母戦で、リアルタイムでいきましょう、というところまではだいたい決まりました。じゃあ、大見得を切った、リアルタイムの問題点を排除した部分とか、いろいろと具体的に今度どういう仕様にしていくかとか、とういう話が始まるんですけれども。この話はまた次回ということで。今度はあまり開かないようにがんばります。(苦笑)

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