Si-phon Game Club (SGC)Simulation Game & Column (SGC-シミュレーションゲームとコラム-)

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『ゲーム視点から見た戦国の武士団』 とは 3 years ago
-戦国時代と武士団の存在を知ってもらう為のツールとして-

現代では、戦国時代とゲームの世界は密着な繋がりがある。
それは戦国ゲームから、戦国時代へ興味を持った方が多いからだ。
またそうした方々向けの雑誌も、数多く出回る様になった。

ゲームであれ、雑誌であれ、売る為の仕掛けは必要だ。
その為に俗説を誇張し、興味の対象を煽る事は、普通に何所もやる事だろう。
よく見かけるのは、30年ほど前の俗説を用いた手法である。

それらは明治初期に形成され、戦後、メディアの普及と共に、国民へ浸透したものなので根強い。
こうした展開は、創作物と考えると別に何も悪くは無い。
ただこれまでずっと感じていた事は、何故そこから進歩しないのだろう、という疑問である。

確かに俗説を否定する事は、読んでいる読者の気持ちを、必ずしも良くするとは限らない。
だったら俗説を使い続ける事は、商売上得策であると言える。
しかしながら、そこへ切り込みたいと思って作ったのが、アナログゲーム『信玄上洛』だった。

そのゲームもデジタル化され、今般、エディタの展開で自作シナリオの作成を促した。
シナリオを作るなら、その作成者は世界観を構築しなければならない。
そこで、ゲームが用いた『中世という時代』を解説するムックを作成する事となる。

-中世という時代に存在した武士団-

武士の歴史は、まだまだ研究が続けられており、その歴史の長さから不明な点も多い。
明治を近代に分類するならば、江戸時代は前近代であり、近世と分類される事が多い様だ。
つまり中世ではない。
ここで、中世と近世における武士像の違いを明確に定義しなければならない。
そうしないと、信玄上洛の世界観が理解できないからだ。

江戸時代の武士は、大名家に属する。大名家を企業とすると、武士はその社員である。
そう考えると、現代社会に近い社会システムと言えるだろう。
ところが中世は異なり、武士は武士団を形成し、村などその土地に定住している存在である。
そして、その土地へ定住する権利と、安全という保障を与えて貰える存在に帰属する。

これは荘園システムの名残とも言える。
土地を開拓した人々は、有力貴族や皇族、寺社へその土地を寄進し、使用する権利を得る。
有力者へ寄進する事により、外敵からの保障を得て、安心してその土地を使用できるからだ。
簡単にまとめると、これが荘園のシステムである。

その保障者の力が弱まり、荘園システムは次第に解体されていくが、土地の使用者は残る。
残った彼らが自分達で村を形成し、武士団と化していくのが戦国時代と言える。
よって、彼ら在地の武士団やその土地を、大名は勝手に村換えなどできない。
大名は決して絶対的権威の王様ではなく、武士団もその奴隷ではないのだ。

戦国時代、主君を鞍替えした武士がいるとされるが、それは別に変な事ではない。
保障してくれる存在に付くのが当時の常識であり、江戸時代以降の感覚とは異なるのだ。

よく武田信玄は、武田二十四将の中の一人であるという解説がある。
これが当時の社会を良く物語っいる。
在地武士団のリーダーが、武田宗家だという事で、武田は彼らの意思を尊重する必要があった。
自分達の意志を尊重してもらえず、安全の保障ができないのであれば、彼らは勝手に離れて行く。
勝頼の最後もこの展開で訪れており、当時の社会としては別におかしな事ではない。

-中世の近世の転機は太閤検地-

では、この中世と近世の境は、一体どの辺りなのだろう。
前期の通り、近世の武士は大名家に紐付けされるが、中世の武士は土地に紐付けされている。
これを基準とするならば、その境は太閤検地となる。

豊臣秀吉は統一事業のひとつとして、全国の土地の価値を図るのに『統一の石高』を用いた。
これで土地の価値は、石高の大きさで図られる様になったのである。
つまり、石高の大きい土地へ移動する事は、出世や豊かさの象徴へ変化した。

この事で武士の配置展開が容易となり、土地との縛りつきが薄れていく。
その土地の武士団が消滅し、武士として大名家に仕える時代が訪れ、江戸時代を迎える。
この事をお伝えする事で、信玄上洛の世界を認識し、シナリオ作りに勤しめればと考えた。

通常、ゲームの世界では、兵隊はプレイヤーが自由に扱える場合が多い。
作り手が分かっていてやっているのであれば、その作り手の感覚は理解できる。
およそ、そうした前近代的な軍隊の扱いが、現代人の感覚に近いからそうしているのだろう。
だが、他所がやっているから同じ様にやっている、という場合もある。

ともあれ、そうしたゲームが多いので、兵隊は自由に扱えるという固定観念は存在する。
信玄上洛のシステムでシナリオを作る場合、この固定観念が邪魔をするだろう。
そうならない様に、お伝えする事はお伝えする、というのが本書の主旨である。

-シナリオ作りから歴史への興味へ-

こうした点を厳密に考えると、桶狭間から関ヶ原までを統一のシステムで再現するのは難しい。
そう考えて関ヶ原まで再現する事を辞め、中世・戦国に絞ったシステムを取った。

また勝利条件においても、様々な条件を設定できる様にした。
上洛からエリアの制圧、その制圧したエリア数、指定勢力の消滅などである。
こうして、自作シナリオの幅を持たせた。
理由は-戦国という時代へ-更に深い興味を持っていただく事を第一に目指したからである。

-鈴木銀一郎先生のインタビュー-

今回も前作に続き、鈴木銀一郎先生のインタビューを4ページお願いできた。
信玄上洛で採用した「ソリティアシステム」への見解である。

自分の中でも、ソリティアシステムへ踏み切れたのは『日本機動部隊』のシナリオにあった。
ゲームの中でソロプレイの艦隊戦シナリオがあり、チュートリアルの真珠湾もあった。
この経験が30年経って、今に活きている。

当時、一人でもプレイ可能な安心感から、購入に踏み切れたと記憶している。
ミリタリー系のゲームで、自分で購入したのはこれが最初だった。
そこから30年近く経って『空母決戦』へ続く。

その空母決戦で、鈴木銀一郎先生と出会う事で出来たので、その時の想いに近い事を残したい。
この強い思いから、インタビューの記事が実現できたのである。

2013年11月17日、今後も歴史とゲームの繋がりを持つ製品を作りつづける事を誓う。


関連リンク
『ゲーム視点から見た戦国の武士団』公式ページ
『空母決戦』公式ページ
『信玄上洛デジタルアプリ版』公式ページ
Si-phonBoardGame公式ページ
Si-phonDigitalAppli公式ページ


関連記事リンク
『ゲーム視点から見た空母の戦い』 とは
ソリティアゲーム について
『Si-phon Board Game』 とは


Si-phon NewS No.008 ご紹介 3 years ago
掲載内容
・Si-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』ニュース
・シナリオエディタとムックのご紹介

■戦国を創ろうSi-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』
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■信玄上洛シナリオエディタ/ゲーム視点から見た戦国の武士団
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関連リンク
サイフォンデジタルアプリ公式サイト
信玄上洛デジタルアプリ公式サイト
ゲーム視点から見た戦国の武士団公式サイト
Si-phon NewS No.007 ご紹介 4 years ago
掲載内容
・Si-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』ニュース
・作る楽しみと遊ぶ楽しみの連携

■ソリティアからアプリへSi-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』
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■作る楽しみと遊ぶ楽しみの連携
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関連リンク
サイフォンデジタルアプリ公式サイト
信玄上洛デジタルアプリ公式サイト
オペレーションクルセイダー(国際通信社)
ウォーゲームハンドブック2013(国際通信社)
Si-phon NewS No.006 ご紹介 4 years ago
掲載内容
・Si-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』ニュース
・長篠合戦までの経緯
・新シナリオ「長篠決戦」アナログ版データ

■Si-phonDigitalAppli『信玄上洛デジタルアプリ版』/長篠合戦のゲーム
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■信玄没後の織田と武田/新シナリオ「長篠決戦」
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■【付録】長篠決戦アナログ版データ1
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■【付録】長篠決戦アナログ版データ2
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関連リンク
サイフォンデジタルアプリ公式サイト
信玄上洛デジタルアプリ公式サイト
ウォーゲーム日本史第7号『長篠・設楽原合戦』(国際通信社)
『信玄上洛デジタルアプリ版』 とは 4 years ago
-アナログからデジタルへ、その意義-

2012年12月27日、『信玄上洛デジタルアプリ版』の配信が始まった。
アナログで作りデジタルへの移植する。
こうした形式を取った理由は、対面的なものをこれまでも語ってきた。
だがもうひとつ「内的な理由」がある。

それは定着しているデジタルシミュレーションの常識打破である。
ユーザー側が持つのと同じく、これは作り手側にも存在する。
これが内的な理由とした理由である。

コマンドを叩き数値を延ばす。
その回数を以って、コンピュータ側の伸張速度を調整する。
ユーザー側には、コンピュータ以上の有利な叩き方で勝利を与える。
作り手側のこうした意識が、ゲーム作りを制限している。

作り方が固まっている為、見せ方のボリューム感を持たせるしかない。
フレーバー的要素だけが拡大していき、ゲームの本質から外れていく。

結果、何が起こるかというと、回らないシステムが生まれる。
回っていたシステムさえもが、回らなくなるというべきかも知れない。
三年やってこの事を強く感じた。

ゲームはチームで制作する以上、意思が共有できないと作れない。
共有できないと、どんどん「背骨・骨格」が曲がっていくのである。
アナログ版を作り、設計書として移植する手法を取った理由のひとつだ。

-タブレットとパソコンの連携-

AndroidやiOSの広がりで、今やタッチ操作が常識化した。
Windowsさえも迷走し、模倣してしまうほどである。
だがその模倣がうまく行くとは限らない。

ネットやメールを使う情報端末としてなら、スマートホンで十分だ。
そうした用途でのパソコン利用は、確実に落ちている。
だがすぐに消えて無くなる事はないだろう。
開発や事務処理など、圧倒的に優位な一定の需要があるからだ。
お互い、それぞれに良い面、悪い面が存在する。

そうした「お互いの利点」を洗い出し、どう連携できるかを模索した。
結果、パソコンでシナリオを作り、タブレット端末で遊ぶ。
そして携帯サイズでも遊べる。こうした連携が効果的ではないかと考えた。

ビューアとしてゲーム。これを情報端末でもつ。
シナリオ作りとしてのエディタ。これをパソコンがもつ。
もちろん、チェックも兼ねてパソコンでも遊べないといけない。
この組み合わせが自然だろうと位置づけた。

だがエディタの開発となると、開発陣の腰は重い。
そこで今回は、アナログ版で自作シナリオ作成を促すゲームを作った。
そこから、開発陣へエディタの可能性を模索させたのである。

これまでもエディタの可能性は打診してきたものの、常に挫折した。
対策として、今回はエディタを作りやすい構造でゲームを設計した。
どの勢力も一律、同じシステムで動き、シナリオのデータで味付けする。
そして、勢力に見合った動きをきちんと取る。

勢力ごとにプログラムで動きを調整するから、エディタ作りは敬遠される。
この部分の対策を打たないと、エディタの制作は見込めない。
という事で、アナログ版の設計時から仕込んでいた要素なのだ。

-シミュレーションゲームの本質-

千人以上の武将が登場し、数えられない程の戦場が存在する。
また手に余るほどのアイテム数と、その収集作業など等。
そうした夢のストラテジーゲームは、世の中にいくらでもある。

そこでアナログ版の設計時から、シミュレーション性を重視した。
シミュレーションと銘打っていても、蔑ろにされているものが多いからだ。
デシタルへの移植も意識し、アナログとしては煩雑な判定も設定した。
だがそうした煩雑な作業も、デジタルとの連携で解消されると信じたからだ。

あまりエディタ制作を重視すると、簡単なシナリオ作りに陥る。
でもシナリオづくりは、簡単で良いのだろうか。

例えば、ある同盟が成立する条件を設定する。
その条件が成立すると、別の設定が発生する。
その組み合わせで、ゲームの流れを作る。

これらの作業を続ける事は、意外と面倒である。
しかしそうした面倒な作業を積まないと、良いシナリオは作れないだろう。

今般、各勢力の行動をシステムで動かし、ソリティアシステムとした。
結果によって情勢が変化する事は、シナリオの特別ルールとした。
これがアナログゲーム『信玄上洛~武田の御旗を打ち立てよ~』である。
そして、このゲームの骨格を移植したのが『信玄上洛デジタルアプリ』だ。

各勢力の行動をAI化しなかった為、エディタは作りやすくなったと思う。
また勢力毎にAI化しなくても、各々がそれらしく動ける事も実践した。
各エリアに数値を与えなくても、役割を果たし、地域性も持たせた。
織田家が信長らしく、浅井・朝倉がそれらしく。
長島や伊賀の意義も持たせ、謙信や雑賀衆の強さも表現できている。
そして武田の強さと脆さも表現できた。

こうした中、与えられた期間で上洛するにはどうするか。
どの敵と、どの程度当たるか。またどの進路を取るか。
目標を達成できなくても、次の対策課題とする。
その対策や可能性を模索する事が、シミュレーションの面白さの一面だ。

-今後の展開-

アナログゲームでは自作シナリオを奨励した。
だからデジタルでも、エディタの提供まで持ち込む。
そこまでがアナログゲームからの移植だと認識している。
これをタブレット端末とパソコンで連携させるのが目標である。

当初の計画では、2012年5月にAndroid版の発売。続けてiOS。
そこからエディタを仕込み、夏~秋にパソコン版であった。
ところがAndroid機の個体差が激しく、制作は思ったより難航。
2012年5月には間に合わなくなった。

そこで伸びたる期間を利用して、武将グラフィックを追加した。
この間、別の仕事を割り入れてしまった。
その為、エンジンとしてのプログラムは出来たが、チェックの時間を失う。
ルール等のチェックが遅れる事で、登録などの手続きがまた遅れる。

これが当初の予定から半年ほど遅れてしまった理由となる。
だが時間を取れた事で、エディタ構想がチーム内で共有化できた。
この共有が出来ていないが為に、後でデータ構造が変わり、バグが出る。
そうしたリスクが減ったのは、実は非常に大きい。

これからは予定通り、iOS版への移植、Windows版への移植が続く。
──パソコンで作り、タブレットで遊ぶ──
そうしたシミュレーションの方向付けを整えていけるだろう。

2012年12月28日、信玄デジタルアプリの新たな方向性を解き放つ。


関連リンク
信玄上洛デジタルアプリ版公式ページ
Si-phonDigitalAppli公式ページ
Si-phonBoardGame公式ページ


関連記事リンク
勝利条件 について
Si-phonデジタルアプリの指針 について
ソリティアシステムのデジタル化 について
ソリティアゲーム について
『Si-phon Board Game』 とは
SGC号外2013新年号 ご紹介 4 years ago
掲載内容
・信玄上洛アプリ版ニュース!
・信玄上洛の世界観
・信玄上洛の注力点

■Si-phonGameClub号外2013年新年号表紙
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■Si-phonGameClub号外2013年新年号中面記事
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信玄上洛デジタルアプリ版
Si-phonDigitalAppli
Si-phonBoardGame
SGC号外2012秋号 ご紹介 4 years ago
掲載内容
・信玄上洛アプリ版登場!
・アナログ信玄との違い-戦国観の踏襲とデジタルの利点に注力-
・信玄上洛に登場する武将たち
・スマホでもタブレットでもプレイ可能


■Si-phonGameClub号外2012年秋号表紙
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■Si-phonGameClub号外2012年秋号中面記事1
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■Si-phonGameClub号外2012年秋号中面記事2
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■Si-phonGameClub号外2012年秋号裏
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■Si-phonGameClub号外2012年秋号表紙(GM版)
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Si-phonBoardGame
信玄上洛デジタルアプリ版
勝利条件 について 4 years ago
-終わり方の定義-

他のゲームと同様、シミュレーションゲームにも、勝利条件というものがある。
勝利条件というと「勝ち方の定義」のように聞こえるが、その多くは「終わり方の定義」である。

通常、対戦型のアナログゲームでは、相手を殲滅させるまでプレイする事はない。
特に勝負が確定した後は、相手を殲滅させるまでプレイする意義がないからだ。
しかしながら、デジタルの多くでは、相手を殲滅させるまでプレイさせる事が多い。

これはCOMが機械的に負けてくれるので、相手が消滅するまでプレイしても違和感が生じないからだ。
そして、相手が消滅していく事は、プレイヤの満足感へ摩り替える事が容易である。
ここにデジタルでは「ヌッ殺しプレイ」が成立する。
そうしたお話を、以前、あるゲームライターの方から聞く事ができた。

コツコツとコマンドを叩いて成長させ、相手を殲滅させる事と共に、プレイヤへ満足感を与える。
これをモチベーションとし、ボスキャラを倒したり、全ての敵勢力を殲滅すると「勝利=終了」する。
一般的な定義はこうしたものだろう。

-空母決戦・戦ノ国・源平争乱-

空母決戦では、コマンドを叩く回数を減らし、プレイ時間に現実性を与えた。
終わり方は、エリアの掌握度と戦果をポイント化し、その結果が反映される形式をとってもらった。

続く戦ノ国では、担当大名の寿命で終わりとし、それまでのプレイ結果が反映される方法を提起した。
人が社会にでて活躍できる年数をMAX30年とし、エリアの数や武将の数に捕らわれないとした。
エリアも30前後、勢力も20程度でよいから、戦国観を与えられるもの。
など提起していたが、チーム内に浸透させる事ができなかった。
結果、ボリュームはアップしたものの、従来型ゲームの勝利条件と変わらないものとなる。
その反省からVer1.5を作ったが、データやプログラムの構造上、大きな変化は難しかった。

源平争乱では、戦ノ国(ver1.0)の反省点からスタートした。
京の重要性と、武士団の人間関係、棟梁の格など、ゲームに取り入れた。
これらより、戦国とは違った「源平時代の世界観」を映し出す事とした。
終わり方は、朝廷に認められる勢力にする事である。

-信玄上洛-

信玄上洛では、戦ノ国でできなかった事の実現を優先した。
生駒や飛騨がバイパスにならない様にした事と、戦力を兵隊の数としなかった事である。

前者は、移動できない処理として入れてもらった戦ノ国から、更に進んで、侵攻する価値をなくした。
意図的に侵攻しても構わないが-時間というリソースを消費してまで-侵攻する価値があるかを加えた。
その判断はプレイヤの戦略で発生する。

後者は、戦力を「武士団の戦意」に置き換えた。
大名と在地武士団との信用度が、そのまま戦意となり、戦力となるシステムである。
ユニットが消えてもすぐに再生するが、それは兵隊が死ぬからではない事を再現しているからだ。

更に岐阜の重要性と、長島と比叡山の嫌らしさを表現した。
京を目指すには岐阜の掌握が必要で、岐阜の安定には長島と比叡山の掌握が必要と考えたからだ。
こちらは「マップの切り方」で対応した。

終わり方は、ズバリ寿命か上洛という事にした。
その他の条件で引き分けなど設定しているが、勝敗については、プレイヤが自らの心情で判断するだろう。

-太平洋決戦-

太平洋決戦では、空母決戦でのやり残しに注力した。
それは、やり甲斐のある「艦隊戦の再現」として、巡洋艦や駆逐艦へ活躍の場を与えた事である。
またユニット単位で判定を振らせ、減少した航空隊でも「敵空母へ被害を与える可能性」を持たせた。

戦時の巡洋艦や駆逐艦は、決してやられ役ではなく主役である。
確かに戦艦や航空機が相手では分が悪いが、一定の活躍を残した事も考慮した。
艦隊戦の発生確率を上げる為、エリア型のマップを採用した。

本ゲームの終わり方については、一応、定義してあるが、最終決戦への持ち込み方を楽しむ事においた。
日本軍は航空隊の人的リソースに制限を置いた為、被害が続くと空母が余ってくる。
航空隊を持たない空母は、打撃力を持たない。
こうした場合でも、旧式戦艦の打撃力を行使し、最終決戦に持ち込める事とした。
もちろん、航空戦力を温存して、最終決戦に臨む事も可能だ。

このゲームは、終わり方を定義するより「終わらせ方を楽しむ」手法をとった。
航空機は消耗し、空母は中々沈まないといった、判定基準を採用した理由はこれである。
弊害として、単体シナリオをプレイすると撃沈させる爽快感を失うが、これは史実同様なのでよしとした。

-今後の課題-

アナログのソリティアシステムという事で設定した勝利条件も、デジタルへ移植すると違和感が生じる。
これは、冒頭で打ち出した「相手を殲滅させる爽快感」が削がれるからだろう。
特にデジタルから入った若い世代は、相手をヌッ殺せない事から違和感を生じるかもしれない。

だが、こうした課題を克服する為に、システムやボリュームを肥大化させる気はない。
この肥大化からの脱却が、このジャンルへ参入した理由でもあるからだ。
確かに肥大化する事は、購入者への満足感へ摩り替える事ができる。
例えプレイできなくても、損した感が生じ難いからだ。

しかしながら、せっかく参入したジャンルなので、別の手法を取り入れたい。
ゲームをプレイするモチベーションは、これとは別の処にあると感じているからである。

2012年10月6日、ゲームの終わらせ方からモチベーションのあり方を考える。
Si-phonデジタルアプリの指針 について 4 years ago
-コマンド叩きゲームからの脱却

サイフォンのデジタルアプリが目指すところは、コマンド叩きシミュレーションからの脱却である。
所謂、有効にコマンドを叩き、成長スピードでCOMと勝負するスタイルからの脱却である。

デジタルシミュレーションが普及を始めた頃は、様々な形態のゲームが存在していた。
だが、時代と共に淘汰され、今でも大勢を占めるのは、マウスクリックして数値を伸ばすタイプである。
伸ばす数値の基本は、お金であったり、米であったりと、モチーフの経済基盤を表現する事が多い。

そんなコマンドを叩いて伸ばした数値は、次に「兵力=打撃力」に相当する数値と置き換える。
置き換えた兵力は戦闘で消耗するが、その消耗は勝利する事で領土とされるエリアと引き換えられる。
そうして減らされた数値は、またコマンドを叩いて伸ばす。RPGもSLGも似たり寄ったりである。
言い換えると、この成長スピードが「ゲームバランス」である。
ゲームの世界観がどうしたと格好よい説明があっても、結局の所、ゲームの根幹はこうして作られる。

この見た目にも分かりやすい表現は、確かにプレイしていて楽しい。
数値やエリアが拡大する将来図は、予測が容易で、その到達点までがモチベーションとなるからだ。

だが、ウォーゲームが本来持っていたモチーフの「流動的な表現力」を、数値が奪った弊害もでた。
数値の成長が、モチベーションに摩り替えられている事に気付くと、今度は途端につまらなくなる。
ユーザーが目的としたい行動を起こすまでの作業量が、膨大となってしまったからだ。

社会に出て、プレイにかけられる時間が制限されてくると、当然、ユーザーは脱落していく。
当初は購入する事で達成できていた満足感も、次第と飽きへ繋がっていくだろう。
プレイする事から発生する満足ポイントが蓄積しないのだから、仕方がない事である。
そこでここへメスを入れ、ウォーゲーム本来の満足ポイントを絞る事を、本シリーズの指針とした。

-マネージメントウォーゲームの限界点-

従来、アナログでは表現し難かった上記の成長方法は、デジタルでは容易に表現できた。
基盤の数値が増え、領土が増える事は満足感と置き換え易く、普及に貢献する。

だが、飽きは来るもの。
その飽きを埋める為に、人材の管理など、現在のサラリーマン社会の要素が次々と採用された。
現実社会の願望を刷り込ませる手法は、やはり分かりやすく、ウケが良かったのだ。
こうして「シミュレーションウォーゲーム」は「マネージメントゲーム」へ変化した。

この流れから、デジタルではウォーゲームが好きなユーザーが減っていく。
というより、マネージメントゲームが好きなユーザーへシフトしたと言えるだろう。
作りの指針が違うのだから、ユーザーが感じる温度差が生じて当然である。

80年代、ウォーゲームにおける表現力の主流は「打撃力の変化」である。
90年代なると、これがデジタル化もあり「経済基盤の数値を通して変換」される事となる。
00年代では、その経済基盤の数値さえも、「別のパラメーターを通して変換」される物が目立ってくる。
その結果が現在の状態となってしまったのだろう。

マネージメントゲーム一辺倒になってしまった事から、作り方の限界が生じた。
またその事こそが、ユーザーの飽きを解消できない要因となったと言えよう。

-何故、アナログへ回帰したのか-

ひと事で言うと、ウォーゲームの原点に戻りたかったからである。
更に言うと、アナログで行ってきた「表現力の原点」である。
これ無しにデジタルの開発を進めても、開発側が認識できないだろう、という思いがあった。

その後の経緯は省略するが、何にしろ、アナログの表現力を勉強し直す事で、作り方が変わった。
そして、デジタルで出来る優位性を、もう一度見つめ直す事ができた。

そうして考えた結果、経済基盤の数値成長を破棄し、打撃力の流動性の表現へ特化する。
また、打撃力の流動性を計算する事に集中できるシステム、そして、終わりの設定。
特に終わり方の設定がないと、一見、壮大なシステムに映る。
だが実際には、締まりの無いシステムに陥ってしまう、と感じていた事からの設定である。

-サイフォンデジタルアプリの今後-

2012年8月31日現在、未だリリースできていない状況であるが、開発と調整は進んでいる。
という事で、最初に出した二作品『信玄上洛』と『太平洋決戦』の発売は確定している。
今後も、当初はアナログで設計し、デジタルでもリリースする流れは続くだろう。

ただ、規模が膨らんでいくと、他の仕事の兼ね合いもあり、開発の進みが悪くなる。
そこでこの一年は、制作スタッフの育成という点に重点を置く事とした。
これは、中長期的にこの分野で挑戦を続けていく、という決意でもある。
開発の遅れなど生じても、それは前向きに進めていると流していただけるとありがたい。

2012年8月31日、Si-phonデジタルアプリの指針を語る。


関連リンク
Si-phonBoardGame公式ページ


関連記事リンク
ソリティアシステムのデジタル化 について
ソリティアゲーム について
『Si-phon Board Game』 とは
ソリティアシステムのデジタル化 について 5 years ago
-ウォーゲームファンの挫折感と飽きから-

Si-phonBoardGame』では、ソロプレイ可能な-ソリティア-システムを採用した。
このソリティアシステムそのものは、特別新しいものではない。
海外では多くの製品が流通しているし、日本にも入ってきていた。

だが、国内ではあまり積極的な扱いではないと感じていたので、手を入れた。
そもそも、対戦する事なくソロプレイで済ます人口も多い。
ルールを共有する必要もあるが、セットアップに時間を有する等、総じて問題が多いからだ。
そうした理由から、デジタルゲームが流行ったのだが、そのデジタルも行き詰まっている。

1回あたりのプレイ時間が延びた事も、ユーザーを減らしている理由のひとつである。
またスタート時点で、ある程度の予備知識がない場合、上手く動き回る事ができない。
そうした事からの「挫折感」もあるだろうが、この手のゲームへの「飽き」もある。

-モチベーションと市場の崩壊-

この飽きとは何かと言うと、先が読める事から生じる「モチベーションの崩壊」である
アナログからデジタルへ移った暫らくは、移植ものが多かった。
アナログゲームのデジタル化である。
技術はあれど、媒体の能力不足もあり、完全な移植は難しかったが、それでも共存していた。
そこからデジタルゲームの進化が始まる。

一番受けが良かったのは、プレイヤがコマンドを叩いて、コツコツと成長するシステムだった。
コマンドを叩いて自分の能力を上げ、相手を殲滅させ、世界を支配していくというスタイルだ。
目標と現状の把握が分かり易いので、このシステムはどんどん浸透する。

このシステムが浸透してくると、進化は次のステップへ移る。
それはボリュームアップ化である。これでお買い得感が増した。

このお買い得感の役割は大きい。
プレイ出来ずとも、ユーザーへ対し「満足感」を与える場合が多いからだ。
だが市場は縮小していくのに、作る労力は拡大する。
こうした状況は、そう長続きしないので、自然と価格帯が下がってくる。

近い将来、価格が下がるのを予測すると、それまで待つユーザーも増加する。
こうした前兆から市場は崩壊していく。

-デジタルゲームの反省から-

こうした時期、Si-phonはタブーを犯して『空母決戦』で業界参入を果たした。
タブーとは「コツコツ成長しない」「ボリュームよりリプレイ」「廉価版は出さない」である。
どのメーカーが行っている事例を、尽く無視した形で参入した。

その後『戦ノ国』ではコツコツ成長型へ陥ってしまったが、『源平争乱』では脱却を目指した。
ボリューム感の無いコツコツ成長型の難しさを実感した事もある。
こちらの問題は『戦ノ国Ver1.5』で解決していく事とした。

続く『Si-phonBoardGame』では『信玄上洛』と『太平洋決戦』を続けて出した。
こちらでは、先に出した「挫折感」と「飽き」を埋める仕掛け作りを重要視した。

ユーザーへの「ボリューム感」は必ずしも絶対条件では無いが、「チープ」であってはならない。
ユーザーが望むプレイスタイルも、いくつか準備しておく必要がある。
この両立が重要である。

だが、巨額の開発費を掛けられる程、大きな市場ではない。
またチープなシステムが受け入れらける程、ユーザーが飢えている訳ではない。
むしろ、これまで未プレイの資産が、数多く溢れている。

これらの問題をひと通り検討して、ソリティアシステムの採用を決定した。
経験豊富なアナログユーザーに対しては、判定回数が多かったり、複雑である事を押し付けた。
デジタルユーザーに対しては、そのモチーフの「世界観」を導入する事で歓心を得ようと試みた。
デジタルの開発者に対しては、システム上で敵を動かす事から、その負担を軽減した。
こうして『Si-phonBoardGame』をシリーズ展開する事が決定された。

アナログゲームから始まった『Si-phonBoardGame』も、次のステップはデジタル化だ。
コマンドを叩きながら、コツコツ成長させるゲーム観からの脱却を目指すものである。
これにて、Androidなど新しい市場の形成と共に、新しい価値観を形成していきたい。

2012年7月31日、デジタルアプリの開発と共に、シミュレーションの本質へ回帰する事を誓う。


関連リンク
Si-phonBoardGame公式ページ


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『Si-phon Board Game』 とは
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