Si-phon Game Club (SGC)Simulation Game & Column (SGC-シミュレーションゲームとコラム-)

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機動防御戦 について 3 years ago
-こまあぷトップバッターとしてのイメージ観-

こまあぷ「ガザラの戦い」のイギリス軍AIに採用したものが「機動防御戦」である。
東部戦線のドイツ軍とばかりに、イギリス軍が後退戦を展開し「防御線」を引き直す。
その防御線の後方へ「機動予備」を置き、ドイツ軍に当たるというものである。
もちろん元ゲームの出来が良いからではあるが、ガザラの評価が得られた一因は、この動きだと考える。

北アフリカのゲームは、面白いテーマであるにも関わらず、売り難いコンテンツである。
全体的に見ればシーソーゲームが続き、あの時の「if」で戦局が大きく変わるだろう。
だが、馴染みの薄い地名であったり、補給に苦しんだりと、遊び難いゲームとなってしまう。
更に最大のキャラである兵器が鹵獲兵器である等、感情移入が難しいテーマとも言える。

そうした難しいテーマをトップバッターに持ってきた。
だからこそ、サイフォンでやる付加価値として「機動防御戦」の概念を取り入れたのだ。

-そもそも機動防御戦とは-

独ソ戦で行う機動防御戦の多くは、ドイツ軍が後方へ配置された装甲部隊の支援を防御戦部隊が受ける。
もしくは、同一師団効果を得たドイツ軍防御部隊が、防御線で優位に展開する。

ここでの防御線とは、敵の攻撃を吸収する戦線を言う。
防御線で敵の攻撃を吸収し、敵が打撃力を失ったところで後方予備で反撃を行う。
つまり防御戦とは反撃する為の準備行動であり、決して攻められるだけのものではない。

敵の打撃力を減衰させるには、敵の攻撃を受けつつ後退し、包囲の準備を整える。
そうして敵を包囲し、後方予備でたたみ掛けるのである。

こうした戦術は地味ではあるが、弱者が強者に勝つ戦法として確立されたものだ。
この概念をこまあぷへ持ち込んだのが「ガザラの戦い」であった。

-機動防御戦の例と疑念の声-

機動防御戦が有名な戦いは、デミヤンスクの「凍結戦線」や、スターリングラードの「冬の嵐作戦」がある。
共に少数のドイツ軍が、ソ連軍の侵攻を食い止めた作戦である。

今回、北アフリカ戦として、しかもイギリス軍にこの言葉を適用させた。
当然ながら疑問の声も出たが、ゲームの面白さを伝えるには「機動防御戦」しかないとした。

疑問の理由は、イギリス軍の方が数が多いのと、そもそも攻撃側がドイツ軍てある点である。
通常、数が少ない方が防御側となる。しかもこの言葉は、ドイツ側で用いる事が多い。
しかし「ガザラの戦い」では、数が多いがイギリス軍であり、そのイギリス軍に適用している。
こうした点が疑問点となった。

-サイフォンスピリッツとして-

こうした動きを行うAIを「サイフォンスピリッツ」と名づけた。
元々が独ソ戦用のAIとして考案していたものなので、北アフリカで用いるのは難しく無かった。

名称に関してはダサイという声が大半であったが、それらを無視する形で採用した。
それ以上に、シリーズとして立ち上げ、対戦ツールからゲームへ進化するのに必要だと感じたからだ。
こうしてウォーゲームの醍醐味のひとつである「機動防御戦」をガザラで表現できた。

また「防御(ライン)」と似た言葉に「防衛(ライン・拠点)」がある。
これらの使い分けは、特に第二戦線が発生する場合等で活用する事となる。
前者は上記の通り、敵の攻撃を減衰させる戦法である。反撃の準備でもある。
後者は、敵の攻撃を受けないだけの戦力を配置する事と定義する。
こちらの概念は、次の「空母決戦1942」で表現する事とした。

2014年8月10日、こまあぷはミニゲームながらも、何かしらテーマを以って展開したいと思う。



関連リンク
こまあぷ公式サイト
ガザラの戦い公式サイト
空母決戦1942公式サイト


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SGC別冊6号 ガザラの戦い-Battle of Gazala-売記念号 ご紹介
『こまあぷ(駒アプ)』 とは
チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは
こまあぷ『空母決戦1942』 とは
こまあぷ『空母決戦1942』 とは 3 years ago
‐陣取型の空母戦ゲーム‐

このあぷ第二弾として登場したのは『空母決戦194』である。
デザイナーは第一弾『ガザラの戦い』と同じく中黒靖氏であり、1942年の太平洋を舞台とする。

同氏が直前にデザインした『太平洋決戦』からスピンアウトしたミニゲームである。
だがミニゲームと雖も、その内容はしっかりしている。
史実と似た展開が再現され、多様な戦略性を持っている点がそうだと言えるだろう。

確かに「空母戦」という言うキーワードから、索敵や航空隊の編成などを想像される方も多いだろう。
だが『空母決戦1942』は、空母が登場するものの、「陣取型のゲーム」である。
この点を念頭に、以下を展開したい。

‐1942年の太平洋戦争‐

最初に言うと、ゲームは太平洋戦争そのものを再現したシミュレーションゲームではない。
真珠湾の奇襲からセイロン沖の海戦を経て、珊瑚海海戦が発生する直前ありからスタートする。
つまりは、1942年中頃からのスタートである。

この年は何が起こったかと言うと、空母戦が最も集中した年である。
珊瑚海海戦・ミッドウェイ海戦・第二次ソロモン海海戦・南太平洋海戦、この全てがこの年に発生した。
そうした1942年を舞台に、空母という兵器を用いて、ゲームを成立させるのがデザイナーの意向である。

‐空母の表現‐

まず空母という兵器は、航空兵器という打撃力の行使に用いる移動基地である。
この部隊が行なう事は、あくまで敵兵力への打撃力行使であり、決して制圧行動ではない。
また行動後は、見方基地へ帰還する必要がある。

こうした事を反映し、空母ユニットは複数で艦隊を編成し、移動しての攻撃を可能とする。
そして攻撃後は、見方の基地(本拠地若しくは前進基地)へ帰還しなければならない。

‐太平洋戦争の表現‐

また太平洋戦争は、その殆どが「島嶼作戦」である。
どんな事かと言うと、太平洋に浮かぶ島々の奪い合いであった。

ゲームではそうした表現として、太平洋上に5つの陸上基地が設定されている。
ミッドウェイ・マーシャル・ラバウル・ガダルカナル・ポートモレスビーの5つだ。
この奪い合いで勝負を決するのである。

ミッドウェイとマーシャルは離れているものの、残りの3つは隣接している。
この南方3つの基地の奪い合いによって、激戦が生じる仕組みが成されているのだ。
そして、陸上基地を奪い合う過程で空母戦が生じるルールにより、太平洋戦争が表現されている。

‐ゲーム視点から見た戦略の多様性‐

ゲームには様々なイベントが用意されており、こららも互いの戦略に影響を及ぼす。
また復帰の拠点である本拠地と、攻撃の拠点である前進基地という設定は、その移動ロスに悩む。

最も大きなイベントでは「日本軍の慢心」がある。
日本軍の空母が戦闘により最初に沈む時、その艦隊を構成する全空母が沈むというイベントだ。
序盤は優勢な日本軍も、このイベントが生じると、一気に形勢が逆転する事も多々ある。
逆に米軍からすると、このイベントは有効に活用したい。
仮にトラックに集結している日本軍空母を、これで一気に沈没させる事も可能だからだ。

日本軍の悩みのポイントは、日本という本拠地を攻撃の拠点にするメリットか全く無い点だ。
トラックを拠点にした方が、全ての陸上基地に近いからである。
しかし上記のイベントの関係で、空母を分散させた場合、各個に撃破されていくという問題もある。

米軍の悩みは、本拠地の真珠湾と前進基地のフィジーに分散してしまう点だ。
ミッドウェイのみ、真珠湾からは1ターンで届くものの、フィジーからが遠い。
よって日本軍に奪われると、奪還するには真珠湾からの攻略が楽なのである。

こうして序盤は、集結できない日本軍と分散を強いられる米軍、という構図が出来あがる。
また中盤以降は、数は減っても集結出来る日本軍は、分散している米軍と戦いを継続可能だ。
もろちん、プレイヤーはその逆のパターンも採用できる。
但しその時は「大きな効力」を得るものの、「大きなリスク」も保持する事となるだろう。

‐空母決戦1942で出来た事から‐

今般『ガザラの戦い』からの変更点として、スタック機能を追加できた。
こまあぷクラスの規模であると、この機能だけでゲーム1本分の工数を必要とする。
しかし、こうした機能を追加できた事で、今後の展開が明るくなるだろう。

またコンピュータとの対戦に必要なAIの開発でも、前回の作戦級AIの改修を行なった。
こうして戦略級ゲーム用のAIに仕上げる事ができた事も、今後を明るくする。
本命はウォーゲームの王道「独ソ戦」ゲームの展開であるが、これらの機能が必要だからだ。
そうした意味において、このゲームで出来た事は今後の展開において、非常に大きいと言えるだろう。

2014年7月2日、今後もウォーゲームの面白さを広め、その楽しさを拡げていきたい。


関連リンク
空母決戦1942公式サイト
ガザラの戦い公式サイト
こまあぷ公式サイト
コマンドマガジン公式サイト
盆栽ゲームズオンラインサイト
太平洋戦史公式サイト


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チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは
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掲載内容
・空母決戦1942登場!
・ドイツ軍エキスパートモードとサイフォンスピリッツ
・太平洋戦史と空母決戦1942

■空母決戦1942
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■ドイツ軍エキスパートモードとサイフォンスピリッツ
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空母決戦1942公式サイト
ガザラの戦い公式サイト
こまあぷ公式サイト
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盆栽ゲームズオンラインサイト
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SGC別冊6号 ガザラの戦い-Battle of Gazala-売記念号 ご紹介 3 years ago
掲載内容
・ガザラシステムのご紹介
・各陣営の戦力紹介
・WWII北アフリカ戦のご紹介

■表紙
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■掴みページ
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■ガザラシステムとは
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■ドイツ軍が勝利する為に
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■イギリス軍が勝利する為に
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■北アフリカの戦いその1 クルセイダー作戦
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■北アフリカの戦いその2 ガザラの戦い
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■北アフリカの戦いその3 エルアラメインの戦い
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関連リンク
ガザラの戦い公式ページ
こまあぷ公式ページ
盆栽ゲームズオンライン公式ページ


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『こまあぷ(駒アプ)-koma app-』 とは
チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは
Si-phon NewS No.009 ご紹介 3 years ago
掲載内容
・新シリーズこまあぷ登場!
・太平洋戦史/ガザラの戦いご紹介
・駒の嵐作戦発動!

■新シリーズ「こまあぷ」と「駒の嵐作戦」について
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■太平洋戦史(国際通信社)とガザラの戦い(盆栽ゲームズ)
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こまあぷ公式サイト
コマンドマガジン公式サイト
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『こまあぷ(駒アプ)』 とは
チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは
『こまあぷ(駒アプ)-koma app-』 とは 3 years ago
-New Style War Game タブレットウォーゲーム-

サイフォンとコマンドマガジンのコラボ企画として、新たに登場するシリーズが「こまあぷ」である。
文字通り、駒を使ったアプリであるが、ヘクスとダイスを用いる事に注力する。
これらを用いて、タブレット端末でアナログゲーム的に遊べるアプリである。

サイフォンとコマンドのコラボと言う様に、この点に最も注力して展開する事とした。
またvassalで出来る事はvassalに任せ、こまあぷで出来る事にリソースを絞る。
通信機能やチャット機能を省く代わりに、AIを搭載し、多くのジャンルを提供する。

デジタルゲームでは、これまでシステムが拡大していった為、開発コストも膨大となった。
そうした理由から、開発は売れるジャンルのゲームに偏り、売れないジャンルは淘汰される。
また開発チームが拡大すると、当然ながら、モチーフに対する意識の差が大きくなる。
結果、開発のモチベーションは下がってしまう。

これらの問題点を克服する為、コンパクトにまとめたシステムで、他ジャンル展開する。
当然、開発チームも小型化されるので、意識の統一も果たしやすい。
こうして「オールドスタイル」のゲームを、現在のテクノロジー「タブレット端末」を用いてプレイする。

-EWEシリーズの志を目指す-

かつて、エポック社から出ていた「EWEシリーズ」を覚えている方も多いだろう。
磁石の駒に鉄マップ、そしてエレクトロニクスの判定機能。
これらでウォーゲームを製作し、多くのジャンルのミリタリーを表現していたシリーズだ。
店舗で並んでいる様は、子供心に興味をそそった。

そこから知らない戦艦の名前や、作戦の名前を知り、歴史を知る。
そうして、「次のクラスのゲームへ一歩づつステップアップ」された方も多い事だろう。

ステップアップすると、ミニゲームを小馬鹿にする時期もある。
だが更に登りつめると、コンパクトに集約されたミニゲームの素晴らしさを認識し始める。
そうして、今でも愛されプレイされているシリーズが、EWEシリーズである。

こまあぷではこうした志を目指し、オールドファンから新たに興味を持つ方への間口としたい。
その為、「対面プレイ」というプレイモードを設けている。

また、多くのジャンルを提供する事で、プレイジャンルのスライドも試みる。
独ソ戦はやるけど、北アフリカはどうも面倒、戦国はやるけど源平は分かり難い。
そうした方々へ「ジャンルのスライド」をしてもらう為、プレイの敷居も下げている。

だが、敷居を下げたからといって、ゲームがチープではならない。
この為に、コマンドマガジンと共に展開し、まずはアナログゲームとして開発する。
それをデジタル移植するが、書籍との連携も強化させる。
歴史を知るには、ゲームだけでは伝達できないと考えるからだ。

-オールドファンにも愛される為-

駒とヘクスとダイスを用いるデジタルゲーム。
サイフォンでも今までゲームを作ってきたが、こられの取り込みには懐疑的な意見が多かった。
今時、という言葉から始まる意見が、その殆どである。

これらが意味する事は、そんな古いシステムをわざわざ今、使う必要はない、という答えである。
だが、デジタルゲームが衰退した理由のひとつは、プレイの敷居が上がり過ぎた為だ。
当然、従来のデジタルの作りが面白い時期もあったが、昨今はそうではない。
ならば、本来、ウォーゲームが盛り上がっていた時期を見つめなおし、手を入れよう。
そうした意見が合致し、サイフォンとコマンド夢のコラボ企画となった。

ここでは「オールドファン」と行っているが、ミリタリーに興味を持ち始めるのは「思春期の男子」に多い。
この若いユーザー層に面白いと感じてもらわなくては、何の為の企画なのかわからない。

その為、制作スタッフも若くし、ミリタリーとウォーゲームの教育を続けた。
アプリとしてのUI設計は、彼らの方が上手である。
若い彼らは、当たり前の設計を当たり前として行う。そうした彼らと一緒に展開する。

-ウォーゲームの面白さを広め、楽しさを深める-

ウォーゲームの面白さを知っている方は多く、数十年にも渡り、プレイされている方もいる。
そうしたウォーゲームは、ゲームジャンルの中でも、長い歴史を持つジャンルに属する。
何故、長く愛され続けかと言うと、楽しみ方が広く、深いからである。だから面白い。

確かに創作ものもあるが、多くは歴史をモチーフとする。
よって、自身の投影だけではなく、作戦研究や、可能性の探求も可能なツールだ。
また、ゲームとして対戦する事で、コミュニケーションツールともなる。

確かにガッツリ系のゲームも良いが、そればかりで飽きられているのなら、それはそれで勿体無い。
上記で揚げた三点を集約し、昔のプレイ仲間を呼び戻し、新たに興味を持つ方をインストラクトする。
昔のプレイ仲間を他のジャンルへスライド誘導させ、新規のユーザーにはプレイする面白さを感じてもらう。
そうして興味が高まったら、今度は書籍と連携し、楽しさを深めてもらう。

そうした志を以って展開するのが、「こまあぷ」シリーズである。

2014年4月1日、Si-phonBoardGameの新たな展開を、これより開始する。


関連リンク
こまあぷ公式ホームページ
こまあぷ版ガザラの戦い
盆栽ゲームズオンライン ガザラの戦い配布ページ
Si-phon開発者Blog ガザラの戦い(盆栽ゲームズ)
ウィキペディア ガザラの戦い


関連記事リンク
チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは
チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは 3 years ago
-ただのお手軽ゲームではない奥深さ-

昨年、「盆栽ゲームズ」がチラシゲーム「ガザラの戦い」を配付・配信した。
盆栽ゲームズとは、中黒靖氏が展開しているゲームブランドである。
そこで「ドイツアフリカ軍団vsイギリス軍」のゲームを出しているのである。

システムは汎用性が高く、手順を覚えてしまえば、他人に教える事も容易である。
またルールは配布時より改定されているが、主にバランスを良くする為の改定である。

北アフリカ戦というと、補給や地雷原ルールなどで苦痛を覚えた方も多いだろう。
だがチラシのガザラでは、ドイツ軍の攻撃力が高く発揮できた場合に次から半減。
たったそれだけの手軽なルールとされている。
なお補給切れ状態は、手番と時間軸というリソースを消費する事で、再び簡単に復帰可能だ。

チラシのガザラは、お互いサイコロを振って駒を動かす。
これだけの作業であるが、その中で、初心者のみならずベテランゲーマーも納得できる内容である。
そうした中でウォーゲームに興味を持ってもらい、面白さをひろげようという試みだろう。

-ドイツ軍有利なルール-

勝利条件は以下の4つ。
 ①トブルクの開放でドイツ軍勝利
 ②イギリス軍歩兵ユニッの全滅でドイツ軍勝利
 ③ドイツ軍ユニットの全滅でイギリス軍勝利
 ④手番決定時に「時間軸+ダイスの目」の和が9以上でイギリス軍勝利
但し配布時は、②の代わりに「4つの町へドイツ軍の侵入」というものがあった。

上記の番号は、何度かプレイして攻略しやすい順位をつけてみた。
諸事情から100回前後はプレイしたので、相違はないと思う順位である。

ドイツ軍有利の理由は、ドイツ軍の特に「21Pz」「15Pz」の戦闘値が高い点が大きい。
また「ロンメルゾーン」と呼ばれる退却を吸収するゾーン設定も、理由のひとつである。
こうしたドイツ軍有利の設定は、ドイツ軍から触りたい初心者の歓心を得るだろう。

-ドイツ軍の戦略-

基本、強力なドイツ軍の装甲師団でトブルクを目指すのが、一番勝利に近い。
プレイヤーの力量が近いなら、7割以上、勝利できるのではないだろうか。
2つの装甲師団が排除されても、その間に多くのイギリス軍部隊も消耗している。
ドイツ軍は、残りの戦力でトブルク以外の歩兵の除去すると勝利できる。

当然ながら、部隊が全滅すると敗北である。
補給切れのユニットは、戦闘後の二次移動を避け、包囲殲滅されない様に心がける。
また、退却行為を吸収してくれるロンメルゾーンの活用も、特に序盤では心がけたい。

もうひとつ、時間切れで終了すると負けである。
おそらく、ドイツ軍作戦遂行の補給の限界を再現しているものと思われる。
途中、イベントが発生したり、補給切れのユニットへ補給したりすると、確率が高まる。
つまり、じわじわと手堅く攻め立てる作戦術は、ここでのドイツ軍では妥当と言えない。

-イギリス軍の戦略-

対するイギリス軍は、ドイツ軍と間逆の作戦を立てる必要がある。
強力なドイツ軍へ打撃を与えるには、補給切れのユニットを包囲殲滅させるのが有効だ。
また無駄な手を打たず、特に終盤は時間切れを目指すのが、勝利に近い戦術となる。

そう普通に考えると、イギリス軍の担当は面白くない。
だが、そうならない所が「中黒イズム」のデームデザインである。
不利なイギリス軍を担当し、ドイツ軍に勝利するにはどうするか。
それを考えさせる事に、このゲームの意義はある。

まず、ビルハケイム~ビルエムハルマート~エルアデムにかけて、防御戦を張る。
この後退させた戦線の更に後方へ、予備戦力を配置する。
そうして機動防御戦を仕掛け、勝利を目指す。

こんな独ソ戦でもお馴染みの基本行動が、自ずと頭の中で浮かんでくるだろう。
ウォーゲームの面白さは、単にサイの目で勝利する満足感の蓄積だけではない。
不利な状態であっても、相手を上回る戦略や作戦術を描き、競う事もそのひとつである。

-チラシのガザラで学ぶ事-

北アフリカ戦のゲームは、一定のファンがいるものの、ゲームの数は少ない。
やはり北アフリカを再現しようとうすると、補給の概念は必要であり、それが面倒に繋がる。
その補給を無くすと、無敵のロンメル軍団となり、それはそれで興が醒めてしまう。

このバランスが難しいのであるが、今般、チラシのガザラではそれが実現された。
更に補給の概念のみならず、ステップロスやZOC、同一師団効果など、多くを学ぶ事ができる。
ドイツ軍有利というバランスの悪さは、新規の間口になり、弱者の戦力を考える事にも繋がる。

トブルクを強襲し、奪還に成功したガザラの戦いは、面白いゲーム素材である。
だが北アフリカでは、ガザラの戦いより、クルセイダー作戦やエルアラメインの戦いが有名だ。
という事は、ガザラで北アフリカの魅力を知ると、前後の作戦を知る事に繋がる可能性も高い。
またここから入門したプレイヤーは、独ソ戦などもっと広い戦域を知る事になるだろう。

もうひとつ、このゲームではターンという概念がない。
ターンの変わりに「手番という概念」を導入している。
そして決定された手番で行動する時系列とは別に、イベント軸が導入されている。
これで戦場の流動性を確保しているのである。

この形式のゲームを最初にやると、ターン制のゲームも簡単に入っていく事ができるだろう。
チラシのガザラという軽い言われ方をされる事も多いが、実は奥の深い戦略が隠されている。

2014年3月21日、このゲームを紹介する事で、ウォーゲームの面白さを広げていきたいと思う。


関連リンク
こまあぷ公式ホームページ
こまあぷ版ガザラの戦い
盆栽ゲームズオンライン ガザラの戦い配布ページ
Si-phon開発者Blog ガザラの戦い(盆栽ゲームズ)
ウィキペディア ガザラの戦い


ガザラの戦い
(PDF版の配布は盆栽ゲームズオンラインより)
SGC別冊5号 信玄上洛デジタルアプリ版売記念号 ご紹介 3 years ago
掲載内容
・信玄上洛デジタルアプリ版の設計思想
・シナリオ紹介と制作視点
・制作後記

■表紙
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■掴みページ
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■エディタ紹介 大名に帰属する武士団の世界
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■エディタ紹介 趣味を広げるシナリオエディタ
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■シナリオ紹介【武田盛衰記】西上作戦・御旗楯無・長篠決戦
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■シナリオ紹介【義輝シナリオ】戦国婆娑羅・関東管領・上洛でごじゃる
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■シナリオ紹介【義昭シナリオ】信玄上洛・謙信上洛・叡山焼討
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■制作後記~ソリティアシステムからデジタルアプリで目指したもの~
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関連リンク
Si-phonBoardGameデジタルアプリ版公式ページ
信玄上洛デジタルアプリ版公式ページ
ゲーム視点から見た戦国の武士団公式ページ
Si-phonBoardGameアナログ版公式ページ
信玄上洛~武田の御旗を打ち立てよ~公式ページ


関連記事リンク
『信玄上洛デジタルアプリ版初回特典冊子』 とは
『ゲーム視点から見た戦国の武士団』 とは
『信玄上洛デジタルアプリ版』 とは
勝利条件 について
Si-phonデジタルアプリの指針 について
Si-phonデジタルアプリの指針 について
SGC別冊3号 信玄上洛発売記念号 ご紹介
『信玄上洛~武田の御旗を打ち立てよ~』 とは
ソリティアゲーム について
『Si-phon Board Game』 とは
SGC号外2014新年号 ご紹介 3 years ago
掲載内容
・信玄上洛シナリオ追加キャンペーン実施!
・今川義元の「ガチで」上洛でごじゃる
・ゲーム視点から見た戦国の武士団ご紹介


■Si-phonGameClub号外2014年新年号表紙
Si-phonGameClub号外2014新春号

■Si-phonGameClub号外2014年新年号中面記事
SGCne008_02.jpg


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関連リンク
信玄上洛デジタルアプリ版
Si-phonDigitalAppli
Si-phonBoardGame
ゲーム視点から見た戦国の武士団


関連記事リンク
『ゲーム視点から見た戦国の武士団』 とは
『信玄上洛デジタルアプリ版』 とは
『信玄上洛デジタルアプリ版初回特典冊子』 とは 4 years ago
-何故か商業誌ではあまり語られない室町という時代-

Windows版の『信玄上洛デジタルアプリ版』には、初回特典冊子を同梱している。
今回のタイトルは『-何故かあまり語られない-室町時代の歴史としゃぶり方』である。
戦国時代のゲームなのに、何故このタイトルなのか。疑問はここから始まるだろう。

同じ戦国時代のゲーム『戦ノ国』の時は、戦国時代のコラムを集めてみた。
これは年表システムとの連携もあり、年表に収め切れなかったネタ等を集め、編集した。

続く『源平争乱』では、登場勢力のご先祖様を、時代ごとに区切って登場させた。
源氏の棟梁とその兄弟が中心であるが、ただ羅列しても数が多くて分かり難い。
そこで見開きごと三名づつに絞り、できるだけ分かりやすく編集した。

そして今回の『信玄上洛デジタルアプリ版』では、室町時代をまとめている。
当初は前回の源平争乱時と同様、将軍ごとに区切る予定で進めたが、途中で断念した。
畿内と関東で動く情勢の変化を、将軍ごとで区切る事が適切ではないと判断したからだ。

こうして二軸で動く時代をまとめ、せっかくなので武田家の歴史も加えた。
そして-戦国を含む-室町時代を扱うゲームのプレイスタイルについて、最期に語った。

今回も製品の同梱冊子なので、近年の商業誌ではできない地味な編集方法をとってみた。
誰が見ても、戦国ゲームでわざわざ室町を語る必要はないだろう、と思うかもしれない。
だが、鎌倉末期から室町への流れが、そのまま戦国へ繋がっている点をお伝えする事。
また全勢力をひねり潰す事が、適切な戦国の表現なのか、という最大の疑問を呈する事。
この二点を表現するものとした。

二軸で動く政治

東国と東北で大乱が続く中、関東では武士の基盤が強まっていく。
そうして治承寿永の乱後、鎌倉に幕府政権が成立した。

この時点での鎌倉幕府の統治規模は、そう大きくない。
だが続く承久の乱で最終的に鎌倉方が一方的な勝利を得て、イニチアチブが移った。
京都守護は旧平清盛邸を改造し六波羅(後に六波羅探題)となり、西国の監視機関となる。

その後、鎌倉幕府は倒され、後醍醐天皇の新政から南北朝時代が訪れた。
この間も鎌倉には鎌倉将軍府が設置され、東国の監視機関となっている。

鎌倉府には、尊氏の息子のひとりが公方として置かれ、この職を世襲した。
南北朝が合体し、代を重ねていくと、将軍と公方の関係は希薄になり対立する様になる。
将軍の実権が強い時代は、関東へ実力行使ができるものの、弱くなるとそれもできない。

畿内で混乱が続く時期、幕府は関東で生じる混乱の手打ちができなくなっていた。
こうして畿内と関東の二軸で、戦国時代へ突入していくのだある。
冊子の前半ではこの点より、戦国時代の本質についてまとめてみた。

室町時代らしいプレイスタイルへの疑問

弊社の『戦ノ国』もそうであるが、世の中の戦国シミュレーションへの最大の疑問である。
自勢力のコマンドを叩き続けて富国強兵し、周辺勢力をひねり潰すプレイスタイル。
勝敗が決していても、終盤では弱小勢力の淘汰作業を繰り返す。
およそ戦国シミュレーションでは、こうしたプレイスタイルが殆どである。

今回の『信玄上洛』ではこの点の改善に注力し、基本システムを設計した。
エディタで勝利条件を多様にしたのも、マップの色塗りだけでは飽きるからである。
そもそも、そうした色塗りプレイでは戦国を表現できない、と感じている。

室町時代における、大名勢力の戦いは何を目指していたのか。
国人領主の紛争との違いは何か。
この違いがある限り、勝利条件は異なるだろう。
そうした想いを感じて頂けたらと思い、冊子を制作したのである。

-最期に-

冊子の中では、当時の紛争の最大問題である相続問題に触れていない。
触れていない理由はひとつ。信玄上洛では、その問題を再現していないからだ。

アナログ版のルールで、上杉謙信没後に触れたルールがあるものの、完全ではない。
デジタルアプリ版でも、一部イベントとして組み込んだものがあるが、不完全である。

今後の課題の最もたるものは、この相続問題と対立構造が再現できるシステム設計である。
これが再現できるのなら、中世日本のシミュレーションゲームが作れるだろう。
空母決戦の後、日本史シミュレーションを出していこうとした企画の骨格はここにある。


2013年11月19日、今後の課題と展開方法について、深く考えてみる。


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