『
Si-phon Game Club』を出す以前、コマンドマガジン編集部のご協力もあり、制作・配布へ辿り付けた小冊子として、
2009年12月配布の『
空母決戦トラトラ虎の巻』
2010年2月配布の『
空母決戦トラトラ虎の巻キャンペーンシナリオキット』
この2つがある。
これらは2009年3月より発売の『
空母決戦』シリーズにおける、詳細な勝利条件の公開が目的の小冊子である。
(
PDF素材のダウンロードはこちらより)
作戦級ゲーム『
空母決戦』における、ゲーム中の勝利条件は≪
指令的≫表現であった。
≪
指令的≫というと格好は良いが、見方によっては≪
大まか≫な表現とも受け取れる。
確かに、プレイヤーの立場がその作戦の司令官である事を考えると、この表現は間違いではない。
-しかし空母決戦はゲームでもある-
見た目として≪
指令的≫≪
大まか≫であっても、PCゲームである処理上、内部には明確な計算式が存在する。
因みに紙とサイコロでプレイするボードゲームでは、この勝利条件が計算式と共に、明確に提示されている事が多い。
多いというよりは人力作業である以上、明確でないと困る。
そして空母決戦のユーザーにおいては、このボードゲーム経験者が多かった。
見た目の地味さも、ボードゲームライクだったのかもしれない。
こうした方々には、提示されている勝利条件の≪
大まか≫さがストレスに感じたようで、詳細の公開が要望された。
ユーザーから要望された後、「公開するか」「公開しないか」が最初の我々の判断基準である。
-結果「公開する」という判断を選択した-
次にやってくる問題は、「どこまで」と「どの様な方法で」の公開だった。
「どこまで」に関しては、戦果・被害を自分でプロットしていった場合に、判定式と合致するレベルだと確定できた。
「どの様な方法で」に関しては、様々な手段が思い浮かび悩まされた。
今風に考えれば、≪
websiteでの公開≫が一番楽であり、一番コストも掛からない。
普通に考えれば、これで決定である。
しかし今時、フルスクラッチで作られるシミュレーションゲームをリリースする事自体、普通ではない。
スタートが普通でない以上、他所様とは違う事をやってみる事にした。
こうした身軽さには、企画書を出して様々な効果を計算立て、お伺いを立てないと進まない組織との違いがある。
媒体として、まずは印刷物である事を周りに問うてみた。
-流石にこれには反対意見が多かった-
特に、最初の製品からは発売一年近く経過しており、わざわざコストを掛けてまでやる効果を、逆に問われた。
しかしながら、昔、ログインなどの付録についてた小冊子のデータ集などがあると、何気に嬉しかったものである。
web上のデータとは違い、やはり、実物にはそうした≪
何かしらの重み≫が感じられる。
そうした経験が迷いを押し切った。紙媒体に決定である。
次にサイズやコストや配布方法等、一連の問題が出てくるが、そうした話は一般には面白くも無いので省略する。
とりあえず、ボードゲームユーザーから出てきた要望でもあり、コマンドマガジン編集部へ相談を持ちかけてみた。
編集部から快く相談にのってもらい、この点に関して、もの凄く感謝し甘えさせてもらった。
アナログとデジタルの違いはあれど、目指している所や支えていただいているユーザーなど、被っている所も多い。
共に盛り上げていこうという気運も高まった。
こうした背景のもと、まずは単体シナリオ版の『
空母決戦トラトラ虎の巻』が作られた。
制作当初は配布物という事もあり、モノクロ印刷を前提としたデザインで進行するも、途中でフルカラーへ変更。
途中というよりは入稿直前で突然切り替えた為、時間不足で一寸勿体無い出来となってしまった。
続けて作業チームは、『
キャンペーンシナリオキット』版の制作へ取り掛かる。
-ここでは初めからフルカラーという仕様のもとで取り組んだ-
準備はしていても、慣れないソフト(Adobe InDesign)もあって、入稿スケジュールとの戦いに苦しむ。
但し、ここで苦労した経験は次の『
Si-phon Game Club』へ繋がる。