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こまあぷ『百年戦争-The Hundred Years' War-』 とは 1 year ago
-世紀を越えた英仏の戦いをアプリ化-

こまあぷ『百年戦争-The Hundred Years' War-』は、中世欧州史のアプリ化である。
総統指令」に引き続き谷村勝一郎がデザインし、サイフォン内で制作した。

今回の百年戦争とは、1337年のエドワード3世が出した挑戦状に始まる英仏の戦争を指す。
そしてボルドーが陥落した1453年までを指す事が多い。この間だけでも116年ある。
とりあえず、狭義で言う百年戦争はこれを指し、今回もこれを取り扱う事とした。

だがよく言われている様に、この間ずっと戦い続けていた訳ではない。
断続的に休戦・停戦を続け、世代がいくつも変わり、社会システムも変わっている。
また何が争点なのかも分かり難く、イギリスの文豪が掛けたバイアスが非常に強い。
そもそも「百年戦争」という名称自体、ずっと後年の人が名づけたものである。

こうした事が理由からか、日本ではシミュレーション化される事は稀である。
チーム内でモチーフを共有する必要があり、特に中世ものは難しい。
そこでヒストリカルリサーチをチーム内で共有する事が、最初の一歩となる。

-こまあぷである為に-

この時代、日本でも根強いファンはいるものの、一般には知られていないモチーフである。
何故かと言えば、中世そのものが現代人には分かり難い概念が多く、欧州も遠い存在だからだ。
欧州には先進国が集中し、有名な国が多いものの、実際に足を運んだ事のある日本人は少ない。
そして自分もそう一人である。

またこの事と連動するが、ナラティブの形成を阻害する大きな要素がふたつある。
ひとつは聞き慣れず、位置関係が把握できない地名、そしてもうひとつは人名の世襲である。
まずはこれらの問題をチーム内で解決しない限り、アプリとして仕上げるのは非常に困難だ。

この場では簡単な説明とするものの、とりあえず重要な地名と人物名をピックアップ。
そしてマップにプロットして、人物はシナリオごとに組み合わせを分けた。
これでほぼ80%はできあがるのが、こまあぷの利点である。
最低限のコストで作る事が可能な利点は、こうした点で活かしたい。

-薔薇戦争の為に再度リサーチ-

こまあぷで「百年戦争」と「薔薇戦争」を続けて作る事は、早い段階で決定していた。
ところが幸か不幸か、同時期にノベルゲームで薔薇戦争ものを作る事となった。
こうした展開になった為、当初はあまり深く関わる予定のなかった薔薇戦争が重要となる。

結局、薔薇戦争をより深くリサーチする関係で、百年戦争に遡ってリサーチする必要性がでた。
しかしその百年戦争自体、どこからどこまでを切るのかという問題が付いて回る。
するとリチャード獅子心王どころか、ノルマン公の誕生までさかのぼらざるを得ない。

その次にはフランスの誕生にまでさかのぼり、カロリング朝フランク王国へ続く。
ついでにと、メロヴィング朝のカールマルテルくらいまで進み、バチカンの偉大さに気付く。
流石にこの辺りまでくると、およその西洋中世史の流れは把握できる。
お陰でわかり難かったブルゴーニュ公の存在感と、フランドルの重要性の認識が一定できた。

-お互いグッドエンドの無い戦い-

話を百年戦争に戻すと、最大の悩みは「この戦いにグッドエンドは無い」である。
史実でフランスが勝利していても、両国とも内乱が続いた。
仮にイングランドが勝利したとしても、英仏二重帝国の維持など、何時まで続くか分からない。
そして史実と同様に、かつてのアンジュー帝国と同じくブルゴーニュの存在が厄介になる。

つまりどう転んでも「英仏の王とブルゴーニュ公との三角関係」は、あまり変わらないのである。
強いて言うならば、火薬庫とも言うべきフランドルの問題がジョーカーと言える。
この問題へ足を突っ込んだ者から順に、歴史から消えていくからだ。

ともあれ、今般、こうしたモチーフをシミュレーションアプリとする事ができた。
グッドエンドの無い戦いを、どうやって終わらせるかが、本来の百年戦争のテーマだと思う。
史実でも王の崩御とばかりに、両国は停戦を模索する。
その交渉で有利に展開する為に戦う。
これが国家という概念の乏しい、この時代のあり方ではないかと感じた。

2016年3月19日、百年戦争より中世の楽しみ方を広げていきたいと想う。


関連リンク
百年戦争公式ページ
こまあぷ公式ページ
コマンドマガジン公式サイト


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