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こまあぷ『総統指令-Unternehmen BARBAROSSA-』 とは 2 years ago
-四年に及ぶ独ソのシーソーゲームをアプリ化-

こまあぷ『総統指令-Unternehmen BARBAROSSA-』は、サイフォン初の独ソ戦ゲームである。
元はSi-phonBoardGameのシリーズで、エリア型ソリティアゲームとして設計していた。
それを「こまあぷ」の規格で、ヘックス戦アプリへ再設計したものである。

ゲームは、1941年から1945年の「独ソ戦=東部戦線」をモチーフにしている。
夏から秋にかけてはドイツ軍が、秋から冬にかけてはソ連軍が攻勢をかけ、春になると停滞。
約四年に及び、これを繰り返し、戦い続けたシーソーゲームである。
サブタイルにバルバロッサとあるが、このゲームはバルバロッサに始まるキャンペーンである。

上記のシーソーゲームというのは、実はデジタルの世界ではあまり相性がよろしくない。
デジタルの世界では、プレイヤーは成長を続け、コンピュータはやられ役というのが定番だ。
プレイヤーが成長を縮めると、その場で都合の良い段階へリロード(復元)し、プレイを再開する。
そうしたプレイスタイルが定着している。

言い換えると、やられる事はリロードするだけのプレイ時間の確保を意味する。
そして成長を縮める事は、プレイの続行を断念せざるを得ない、等の酷いバランスのゲームも多い。
酷いバランスを難易度に摩り替えているパターンである。

しかし上記の事例は、ユーザーを満足させるという意味では成功した要素である。
リロードする葛藤を、成長という要素で補い、最終的な勝利を与える事で満足させてきたからだ。
しかしながら、シミュレーションゲームの面白さを与えたかというと、それは「」である。
何故なら、リロードする作業が同時に「面倒臭さ」と「難しさ」をイメージさせてきたからだ。
これがシミュレーション人口を減らしていった理由のひとつだと言えよう。

ユーザーの拡大を目指す「こまあぷ」では、この部分に切り込む事にした。
単に独ソ戦をテーマにしたゲームではなく、こまあぷの本質をここにぶつけてみたのである。

-デジタル寄りにフォーカスしたアプリ-

これまでは、アナログゲームからの移植作品であった。
それを今回は「デジタルありき」として設計した。

デジタルはデジタルの良さがあり、アナログでは面倒な処理も一瞬で終わる。
この部分にフォーカスし、シミュレーションゲームの面白さと掛け合わせる事にしたのである。

例えば、レートが変動したり、計算式が面倒であったり、勝利条件が複雑である等がそうだ。
これらはアナログでは単純化しないと、プレイアビリティに直結する問題である。
だが、レートが変更する理由が明確で、ユーザーが納得するのであれば、これは導入できる。
また計算式や勝利所運も、ユーザーが行う必要がない為、その定義を示す事で導入か可能である。

そしてデジタルならではの大きな特徴は、エフェクト処理が実装できる点だ。
エフェクトとは、変化点を補填できる重要なゲーム内のコンテンツである。
何からの変化が生じる時、そのイメージを深め、確実に伝達させる為の効果と言える。
つまりゲームデザインの中では、かなり重要な要素なのだ。

後発メーカーとして参入したサイフォンは、これまでシステム構築に手間を取られてきた。
シミュレーションの場合はルールや仕様が多く、手が回らなかったのが実情である。
その点、こまあぷでは規模が小さく、手を入れやすかった。
制作チームは若かったが、同じビルで作業する事もあり、小回りな修正も可能であった。
そこで今回はより一層、こちらの要素に力を入れる事にしたのである。

-アナログの良さを取り入れたアプリ-

アナログゲームの良さは、シーソーゲームが成り立つ点だ。
そもそも都合が悪くなってリロード(手を戻す)する事の方が手間である。
つまり、都合が悪くなっても、その時点で最善の手を尽くす事がプレイの基本となる。
普通の事だと思うが、これはゲームプレイの楽しさの原点ではないのだろうか。

セーブ機能をつけていない「こまあぷ」では、設計時にプレイ時間を設定しなければならない。
今回は「プレイ時間30分」という事にした。アプリとしては長い部類である。
ちなみに従来のアプリは15分程度だったので、約倍に伸びる事となる。
これは現在のアプリの作り方としては逆行するが、今回は戦略級という事で設定している。

またアナログの良さには、対戦相手とウンチクを並べながらプレイできる事もあげられる。
これが楽しいひと時を演出してくれる。
よってゲームデザイン上も、ウンチクが並べる事が可能な展開を用意しなければならない。

ウンチクに必要な要素には「攻勢をかける理由」「反攻できる要素」「攻防が続く場所」等がある。
これに「攻勢が失敗した原因」「反撃ができない理由」「進路の選択」等が続く。
これらを演出させるには、ゲーム内でも史実と同様の展開が生じる必要性がある。
設計の中に「攻撃が挫折しても崩れ続けない」「攻められても反撃の可能性を残す」必要がある。

-コンパクトに集約された独ソ戦ゲーム-

まずマップの大きさは、およそ縦横7x7へクス、正方形に近い47のマス目である。
コンパクト独ソ戦で有名な『NoRetreat!』(日本語版:国際通信社)でも、350ほどのヘクスがある。

このマップに、11の都市都市が配置されている。
西はベルリン、東はモスクワ、北はレニングラード、南はスターリングラードである。
ユニットはドイツ軍が5個、ソ連軍が8個。これをどう捕らえるか。
きっと多くの方は、このボリュームでは壮大な独ソ戦は再現できないと考えるだろう。

大雑把に見ても、1941年のバルバロッサ作戦に始まり、その年の暮れにはタイフーン作戦が始まる。
そしてソ連軍の反攻作戦が始まる。シーソーゲームの始まりだ。
翌1942年も、ドイツ軍の青作戦が開始され、秋にはソ連軍の反攻作戦ウラヌス作戦が始まる。
更に1943年に入ると、ソ連軍の反攻をハリコフで食い止めたドイツ軍が、クルスクで再度進撃する。
その後は、ドニエプル川を挟んで対峙するが、ソ連軍がバクラチオン作戦で押し切っていく。

こうした流れの中で、侵攻やその阻止だけでなく、包囲された友軍の救出作戦など、ドラマも多い。
4年も続いた大戦を再現するのであれば、これらが表現できないと、独ソ戦ゲームだとは認識されない。

ただ数を揃えて進めば勝てるパワーゲームではなく、一度崩れると崩壊する雪崩れ型ゲームでもない。
例え進んでコケても「次こそは」という心境が、戦略級独ソ戦には必要であると考える。

-セーブ機能なしでも楽しめるゲーム設計-

ドイツ軍は開始時、ミンスクやリガなどの都市を制圧する事は、史実同様、そう難しくない。
その後は、キエフの敵軍も包囲して殲滅させる事ができるだろう。
当然、運が悪いとコケる事もあるが、最初からやり直さないと遊べないゲームにはしたくない。

国境付近の敵軍を殲滅したドイツ軍は、モスクワ付近までたどり着くのにも、そう難しくは無い。
しかし、モスクワを攻め取るのは楽ではなく、以降の維持はもっと大変である。
これがバルバロッサ~タイフーン作戦の本質ではないだろうか。

また崩れるだけのソ連軍では、ソ連軍プレイは楽しくない。
長期戦になればなるほど、パワープレイが可能であり、それが担保されるから序盤の苦戦も耐えられる。
但し、押し切っても押し切っても、再編してくるドイツ軍は弱くはない。
つまりドイツ軍は脆くはないのである。

戦力が崩れてもやめる事なく、巻き返せる楽しみをゲーム内で演出する。
更に対戦する事で、互いの知識が堪能できるように、ゲームの中へ雰囲気を織り込む。
こうしたシミュレーションゲームが本来持っていた楽しみ方を、こまあぷでは再現したい。
手軽にプロットされたゲームではなく、コンパクトな独ソ戦を演出する、という思いが設計思想である。

2015年3月19日、総統指令の配信を準備しつつ、今後のこまあぷのあり方を考える。


関連リンク
総統指令公式ページ
こまあぷ公式ページ
コマンドマガジン公式サイト


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