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チラシゲーム『ガザラの戦い』 とは 3 years ago
-ただのお手軽ゲームではない奥深さ-

昨年、「盆栽ゲームズ」がチラシゲーム「ガザラの戦い」を配付・配信した。
盆栽ゲームズとは、中黒靖氏が展開しているゲームブランドである。
そこで「ドイツアフリカ軍団vsイギリス軍」のゲームを出しているのである。

システムは汎用性が高く、手順を覚えてしまえば、他人に教える事も容易である。
またルールは配布時より改定されているが、主にバランスを良くする為の改定である。

北アフリカ戦というと、補給や地雷原ルールなどで苦痛を覚えた方も多いだろう。
だがチラシのガザラでは、ドイツ軍の攻撃力が高く発揮できた場合に次から半減。
たったそれだけの手軽なルールとされている。
なお補給切れ状態は、手番と時間軸というリソースを消費する事で、再び簡単に復帰可能だ。

チラシのガザラは、お互いサイコロを振って駒を動かす。
これだけの作業であるが、その中で、初心者のみならずベテランゲーマーも納得できる内容である。
そうした中でウォーゲームに興味を持ってもらい、面白さをひろげようという試みだろう。

-ドイツ軍有利なルール-

勝利条件は以下の4つ。
 ①トブルクの開放でドイツ軍勝利
 ②イギリス軍歩兵ユニッの全滅でドイツ軍勝利
 ③ドイツ軍ユニットの全滅でイギリス軍勝利
 ④手番決定時に「時間軸+ダイスの目」の和が9以上でイギリス軍勝利
但し配布時は、②の代わりに「4つの町へドイツ軍の侵入」というものがあった。

上記の番号は、何度かプレイして攻略しやすい順位をつけてみた。
諸事情から100回前後はプレイしたので、相違はないと思う順位である。

ドイツ軍有利の理由は、ドイツ軍の特に「21Pz」「15Pz」の戦闘値が高い点が大きい。
また「ロンメルゾーン」と呼ばれる退却を吸収するゾーン設定も、理由のひとつである。
こうしたドイツ軍有利の設定は、ドイツ軍から触りたい初心者の歓心を得るだろう。

-ドイツ軍の戦略-

基本、強力なドイツ軍の装甲師団でトブルクを目指すのが、一番勝利に近い。
プレイヤーの力量が近いなら、7割以上、勝利できるのではないだろうか。
2つの装甲師団が排除されても、その間に多くのイギリス軍部隊も消耗している。
ドイツ軍は、残りの戦力でトブルク以外の歩兵の除去すると勝利できる。

当然ながら、部隊が全滅すると敗北である。
補給切れのユニットは、戦闘後の二次移動を避け、包囲殲滅されない様に心がける。
また、退却行為を吸収してくれるロンメルゾーンの活用も、特に序盤では心がけたい。

もうひとつ、時間切れで終了すると負けである。
おそらく、ドイツ軍作戦遂行の補給の限界を再現しているものと思われる。
途中、イベントが発生したり、補給切れのユニットへ補給したりすると、確率が高まる。
つまり、じわじわと手堅く攻め立てる作戦術は、ここでのドイツ軍では妥当と言えない。

-イギリス軍の戦略-

対するイギリス軍は、ドイツ軍と間逆の作戦を立てる必要がある。
強力なドイツ軍へ打撃を与えるには、補給切れのユニットを包囲殲滅させるのが有効だ。
また無駄な手を打たず、特に終盤は時間切れを目指すのが、勝利に近い戦術となる。

そう普通に考えると、イギリス軍の担当は面白くない。
だが、そうならない所が「中黒イズム」のデームデザインである。
不利なイギリス軍を担当し、ドイツ軍に勝利するにはどうするか。
それを考えさせる事に、このゲームの意義はある。

まず、ビルハケイム~ビルエムハルマート~エルアデムにかけて、防御戦を張る。
この後退させた戦線の更に後方へ、予備戦力を配置する。
そうして機動防御戦を仕掛け、勝利を目指す。

こんな独ソ戦でもお馴染みの基本行動が、自ずと頭の中で浮かんでくるだろう。
ウォーゲームの面白さは、単にサイの目で勝利する満足感の蓄積だけではない。
不利な状態であっても、相手を上回る戦略や作戦術を描き、競う事もそのひとつである。

-チラシのガザラで学ぶ事-

北アフリカ戦のゲームは、一定のファンがいるものの、ゲームの数は少ない。
やはり北アフリカを再現しようとうすると、補給の概念は必要であり、それが面倒に繋がる。
その補給を無くすと、無敵のロンメル軍団となり、それはそれで興が醒めてしまう。

このバランスが難しいのであるが、今般、チラシのガザラではそれが実現された。
更に補給の概念のみならず、ステップロスやZOC、同一師団効果など、多くを学ぶ事ができる。
ドイツ軍有利というバランスの悪さは、新規の間口になり、弱者の戦力を考える事にも繋がる。

トブルクを強襲し、奪還に成功したガザラの戦いは、面白いゲーム素材である。
だが北アフリカでは、ガザラの戦いより、クルセイダー作戦やエルアラメインの戦いが有名だ。
という事は、ガザラで北アフリカの魅力を知ると、前後の作戦を知る事に繋がる可能性も高い。
またここから入門したプレイヤーは、独ソ戦などもっと広い戦域を知る事になるだろう。

もうひとつ、このゲームではターンという概念がない。
ターンの変わりに「手番という概念」を導入している。
そして決定された手番で行動する時系列とは別に、イベント軸が導入されている。
これで戦場の流動性を確保しているのである。

この形式のゲームを最初にやると、ターン制のゲームも簡単に入っていく事ができるだろう。
チラシのガザラという軽い言われ方をされる事も多いが、実は奥の深い戦略が隠されている。

2014年3月21日、このゲームを紹介する事で、ウォーゲームの面白さを広げていきたいと思う。


関連リンク
こまあぷ公式ホームページ
こまあぷ版ガザラの戦い
盆栽ゲームズオンライン ガザラの戦い配布ページ
Si-phon開発者Blog ガザラの戦い(盆栽ゲームズ)
ウィキペディア ガザラの戦い


ガザラの戦い
(PDF版の配布は盆栽ゲームズオンラインより)