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Windows版の『信玄上洛デジタルアプリ版』には、初回特典冊子を同梱している。
今回のタイトルは『-何故かあまり語られない-室町時代の歴史としゃぶり方』である。
戦国時代のゲームなのに、何故このタイトルなのか。疑問はここから始まるだろう。
同じ戦国時代のゲーム『戦ノ国』の時は、戦国時代のコラムを集めてみた。
これは年表システムとの連携もあり、年表に収め切れなかったネタ等を集め、編集した。
続く『源平争乱』では、登場勢力のご先祖様を、時代ごとに区切って登場させた。
源氏の棟梁とその兄弟が中心であるが、ただ羅列しても数が多くて分かり難い。
そこで見開きごと三名づつに絞り、できるだけ分かりやすく編集した。
そして今回の『信玄上洛デジタルアプリ版』では、室町時代をまとめている。
当初は前回の源平争乱時と同様、将軍ごとに区切る予定で進めたが、途中で断念した。
畿内と関東で動く情勢の変化を、将軍ごとで区切る事が適切ではないと判断したからだ。
こうして二軸で動く時代をまとめ、せっかくなので武田家の歴史も加えた。
そして-戦国を含む-室町時代を扱うゲームのプレイスタイルについて、最期に語った。
今回も製品の同梱冊子なので、近年の商業誌ではできない地味な編集方法をとってみた。
誰が見ても、戦国ゲームでわざわざ室町を語る必要はないだろう、と思うかもしれない。
だが、鎌倉末期から室町への流れが、そのまま戦国へ繋がっている点をお伝えする事。
また全勢力をひねり潰す事が、適切な戦国の表現なのか、という最大の疑問を呈する事。
この二点を表現するものとした。
-二軸で動く政治-
東国と東北で大乱が続く中、関東では武士の基盤が強まっていく。
そうして治承寿永の乱後、鎌倉に幕府政権が成立した。
この時点での鎌倉幕府の統治規模は、そう大きくない。
だが続く承久の乱で最終的に鎌倉方が一方的な勝利を得て、イニチアチブが移った。
京都守護は旧平清盛邸を改造し六波羅(後に六波羅探題)となり、西国の監視機関となる。
その後、鎌倉幕府は倒され、後醍醐天皇の新政から南北朝時代が訪れた。
この間も鎌倉には鎌倉将軍府が設置され、東国の監視機関となっている。
鎌倉府には、尊氏の息子のひとりが公方として置かれ、この職を世襲した。
南北朝が合体し、代を重ねていくと、将軍と公方の関係は希薄になり対立する様になる。
将軍の実権が強い時代は、関東へ実力行使ができるものの、弱くなるとそれもできない。
畿内で混乱が続く時期、幕府は関東で生じる混乱の手打ちができなくなっていた。
こうして畿内と関東の二軸で、戦国時代へ突入していくのだある。
冊子の前半ではこの点より、戦国時代の本質についてまとめてみた。
-室町時代らしいプレイスタイルへの疑問-
弊社の『戦ノ国』もそうであるが、世の中の戦国シミュレーションへの最大の疑問である。
自勢力のコマンドを叩き続けて富国強兵し、周辺勢力をひねり潰すプレイスタイル。
勝敗が決していても、終盤では弱小勢力の淘汰作業を繰り返す。
およそ戦国シミュレーションでは、こうしたプレイスタイルが殆どである。
今回の『信玄上洛』ではこの点の改善に注力し、基本システムを設計した。
エディタで勝利条件を多様にしたのも、マップの色塗りだけでは飽きるからである。
そもそも、そうした色塗りプレイでは戦国を表現できない、と感じている。
室町時代における、大名勢力の戦いは何を目指していたのか。
国人領主の紛争との違いは何か。
この違いがある限り、勝利条件は異なるだろう。
そうした想いを感じて頂けたらと思い、冊子を制作したのである。
-最期に-
冊子の中では、当時の紛争の最大問題である相続問題に触れていない。
触れていない理由はひとつ。信玄上洛では、その問題を再現していないからだ。
アナログ版のルールで、上杉謙信没後に触れたルールがあるものの、完全ではない。
デジタルアプリ版でも、一部イベントとして組み込んだものがあるが、不完全である。
今後の課題の最もたるものは、この相続問題と対立構造が再現できるシステム設計である。
これが再現できるのなら、中世日本のシミュレーションゲームが作れるだろう。
空母決戦の後、日本史シミュレーションを出していこうとした企画の骨格はここにある。
2013年11月19日、今後の課題と展開方法について、深く考えてみる。
<関連リンク>
・『信玄上洛デジタルアプリ版』公式ページ
・『ゲーム視点から見た戦国の武士団』公式ページ
・Si-phonBoardGame公式ページ
・Si-phonDigitalAppli公式ページ
<関連記事リンク>
・『源平争乱初回特典冊子』 とは
・『戦ノ国初回特典冊子』 とは
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