Si-phon Game Club (SGC)Simulation Game & Column (SGC-シミュレーションゲームとコラム-)

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勝利条件 について 6 years ago
-終わり方の定義-

他のゲームと同様、シミュレーションゲームにも、勝利条件というものがある。
勝利条件というと「勝ち方の定義」のように聞こえるが、その多くは「終わり方の定義」である。

通常、対戦型のアナログゲームでは、相手を殲滅させるまでプレイする事はない。
特に勝負が確定した後は、相手を殲滅させるまでプレイする意義がないからだ。
しかしながら、デジタルの多くでは、相手を殲滅させるまでプレイさせる事が多い。

これはCOMが機械的に負けてくれるので、相手が消滅するまでプレイしても違和感が生じないからだ。
そして、相手が消滅していく事は、プレイヤの満足感へ摩り替える事が容易である。
ここにデジタルでは「ヌッ殺しプレイ」が成立する。
そうしたお話を、以前、あるゲームライターの方から聞く事ができた。

コツコツとコマンドを叩いて成長させ、相手を殲滅させる事と共に、プレイヤへ満足感を与える。
これをモチベーションとし、ボスキャラを倒したり、全ての敵勢力を殲滅すると「勝利=終了」する。
一般的な定義はこうしたものだろう。

-空母決戦・戦ノ国・源平争乱-

空母決戦では、コマンドを叩く回数を減らし、プレイ時間に現実性を与えた。
終わり方は、エリアの掌握度と戦果をポイント化し、その結果が反映される形式をとってもらった。

続く戦ノ国では、担当大名の寿命で終わりとし、それまでのプレイ結果が反映される方法を提起した。
人が社会にでて活躍できる年数をMAX30年とし、エリアの数や武将の数に捕らわれないとした。
エリアも30前後、勢力も20程度でよいから、戦国観を与えられるもの。
など提起していたが、チーム内に浸透させる事ができなかった。
結果、ボリュームはアップしたものの、従来型ゲームの勝利条件と変わらないものとなる。
その反省からVer1.5を作ったが、データやプログラムの構造上、大きな変化は難しかった。

源平争乱では、戦ノ国(ver1.0)の反省点からスタートした。
京の重要性と、武士団の人間関係、棟梁の格など、ゲームに取り入れた。
これらより、戦国とは違った「源平時代の世界観」を映し出す事とした。
終わり方は、朝廷に認められる勢力にする事である。

-信玄上洛-

信玄上洛では、戦ノ国でできなかった事の実現を優先した。
生駒や飛騨がバイパスにならない様にした事と、戦力を兵隊の数としなかった事である。

前者は、移動できない処理として入れてもらった戦ノ国から、更に進んで、侵攻する価値をなくした。
意図的に侵攻しても構わないが-時間というリソースを消費してまで-侵攻する価値があるかを加えた。
その判断はプレイヤの戦略で発生する。

後者は、戦力を「武士団の戦意」に置き換えた。
大名と在地武士団との信用度が、そのまま戦意となり、戦力となるシステムである。
ユニットが消えてもすぐに再生するが、それは兵隊が死ぬからではない事を再現しているからだ。

更に岐阜の重要性と、長島と比叡山の嫌らしさを表現した。
京を目指すには岐阜の掌握が必要で、岐阜の安定には長島と比叡山の掌握が必要と考えたからだ。
こちらは「マップの切り方」で対応した。

終わり方は、ズバリ寿命か上洛という事にした。
その他の条件で引き分けなど設定しているが、勝敗については、プレイヤが自らの心情で判断するだろう。

-太平洋決戦-

太平洋決戦では、空母決戦でのやり残しに注力した。
それは、やり甲斐のある「艦隊戦の再現」として、巡洋艦や駆逐艦へ活躍の場を与えた事である。
またユニット単位で判定を振らせ、減少した航空隊でも「敵空母へ被害を与える可能性」を持たせた。

戦時の巡洋艦や駆逐艦は、決してやられ役ではなく主役である。
確かに戦艦や航空機が相手では分が悪いが、一定の活躍を残した事も考慮した。
艦隊戦の発生確率を上げる為、エリア型のマップを採用した。

本ゲームの終わり方については、一応、定義してあるが、最終決戦への持ち込み方を楽しむ事においた。
日本軍は航空隊の人的リソースに制限を置いた為、被害が続くと空母が余ってくる。
航空隊を持たない空母は、打撃力を持たない。
こうした場合でも、旧式戦艦の打撃力を行使し、最終決戦に持ち込める事とした。
もちろん、航空戦力を温存して、最終決戦に臨む事も可能だ。

このゲームは、終わり方を定義するより「終わらせ方を楽しむ」手法をとった。
航空機は消耗し、空母は中々沈まないといった、判定基準を採用した理由はこれである。
弊害として、単体シナリオをプレイすると撃沈させる爽快感を失うが、これは史実同様なのでよしとした。

-今後の課題-

アナログのソリティアシステムという事で設定した勝利条件も、デジタルへ移植すると違和感が生じる。
これは、冒頭で打ち出した「相手を殲滅させる爽快感」が削がれるからだろう。
特にデジタルから入った若い世代は、相手をヌッ殺せない事から違和感を生じるかもしれない。

だが、こうした課題を克服する為に、システムやボリュームを肥大化させる気はない。
この肥大化からの脱却が、このジャンルへ参入した理由でもあるからだ。
確かに肥大化する事は、購入者への満足感へ摩り替える事ができる。
例えプレイできなくても、損した感が生じ難いからだ。

しかしながら、せっかく参入したジャンルなので、別の手法を取り入れたい。
ゲームをプレイするモチベーションは、これとは別の処にあると感じているからである。

2012年10月6日、ゲームの終わらせ方からモチベーションのあり方を考える。