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『ウォーゲーム日本史第10号清盛軍記』 とは 7 years ago
-有名でありながらマイナーテーマのゲーム化-

日本史上、非常に有名な政変である『保元・平治の乱』が、ようやくゲーム化された。
ようやくと言うのは、これまでまともに制作されたゲーム化を知らないからだ。
つまり日本史上、有名な合戦なのにゲーム史上は、非常にマイナーテーマなのである。
何故なのだろうか。

これは、史料が限られている事もあるが、その対立構造が複雑で、ドラマ性が分かり難い。
そこへ感じ入る方々は熱望するものの、ゲームとして作りにくい素材なのだろう。
だが当時を飾る人物達は-非常に魅力的な-英傑ばかりである。

鎮西八郎為朝」「悪源太義平」清和源氏を代表する彼等も、これらの合戦で活躍する。
また2012年の大河ドラマの主人公「平清盛」に、後の征夷大将軍・源頼朝の父「源義朝」など。
他にも「後白河天皇」は、この後治承・寿永の乱(この時は法皇)にも登場する。
これらの名前だけでも、凄い面々である。
そんな彼等が京のマップで暴れまわり、全国マップから援軍として駆けつけてくる。

-強弓為朝が輝く保元の乱シナリオ-

源為朝は幼き頃、父・為義に勘当され、九州の地で暴れまわった源氏の豪傑である。
そんな彼も、保元の乱では老齢の父・為義に代わり、兄・義朝と対する。

勝つ為に夜襲を進言するも退けられ、逆に兄・義朝が夜襲を仕掛けて来る事となる。
その場での兄弟としての会話のやりとりは、保元の乱で一番有名なシーンだ。
兄に矢を向ける弟を窘めるも、父へ敵対する事を諌め切り返す弟。
当時の合戦風情を物語る一幕だ。
シーンの締めは、あえて外したとされる為朝が義朝へ放つ矢である。

そこには、欲が見え隠れする訳でもなく、怨恨がある訳でもない。
そんな原始的な武士の戦い方が、物語を奏でるのである。

ゲームの中でも、為朝は最強レートを持つ上に、弓の能力を持つ有能な武将だ。
こうした為朝を陣営に持つのが「崇徳上皇側」である。
対する「後白河天皇側」は、平清盛と源義朝という2つの強力な戦力を持つ。
皇族と貴族が持つ複雑な対立構造がどうであれ、戦局を握るのは彼等である。
彼等の激しいぶつかり合いが、このシナリオの特徴である。

-無双義平が駆け回る平治の乱シナリオ-

義朝の長男・義平は、鎌倉悪源太と呼ばれていた。
有名な事だが、鎌倉に住む、あまりに強い源氏の子という意味である。
その義平は保元の乱の前年、叔父の義賢を襲撃し討ち取る事件を起こす。
事件後、義賢の弟・頼賢が兵を率いて衝突しかけるも、義朝が穏便に決着させる。

この事件が影響したかどうかは別として、義朝の他の兄弟の多くは義朝と対決する。
保元の乱の事である。
この時、義平は鎌倉に居り、合戦には間に合わなかった。
そんな義平が3年後の平治の乱では、大暴れをする。

動かない摂津源氏の頼政を見ては、さては裏切ったなと突進。
清盛の長男・重盛を見つけては、一騎討ちを申し出る。
平治の乱の物語は、まさに義平のオンステージなのだ。
合戦に参加したとされる頼朝から見ると、非常に頼もしく映った存在だったのだろう。

ゲームの中でも、義平は為朝と同じレートを持つ最強武将である。
そんな無双義平と、その父・義朝をはじめ、源氏の多くを持つのが「二条天皇側」である。
対するのは、平清盛とその一族を抱える「後白河上皇側」である。
こうした陣営で対する訳だが、保元との違いは、裏切りの要素が強くなる点だろう。

動かない事から、突然、義平に攻撃され、仕方なく敵対する事となった源頼政。
途中、二条天皇が居なくなり、戦う意義を失って陣営を変えた源光保。
そうした事例を反映してか、序盤は勢いのある二条天皇側も、次第に劣勢に陥っていく。
よって「裏切りが発生する前に討て」とばかりに、義平が駆け回るシナリオとなるのだ。

-キャンペーンシナリオの意義-

ゲームの中には、保元と平治を連続プレイするシナリオも収録されている。
しかも「後白河視点」のシナリオと「源平視点」のシナリオの2本である。

前者は保元の乱を普通に戦い、残った勢力を振り分けるシステムである。
次の戦いの事を考え、いやらしい思惑も駆け巡る事だろう。

後者は清盛と義朝で、ポイントを競い合うシステムである。
これこそ大河ドラマに合わせた企画と言ってよいだろう。
つまり計4つのシナリオが、4つの視点でプレイできるのである。

-テンポよいゲームシステム-

前置きが長くなったが、ゲームシステムは非常にシンプルで、テンポが良い。
合戦の発生起源同様、設定は難しく感じるものの、プレイは簡単である。
ユニットには、2つのシナリオの情報と、個体情報、勢力情報、などが入っている。
見た目、情報が重そうに感じるが、実際にマップへ並べて触ってみるのが早い。

システムは軽く、早いテンポで流動的に場が動いていくのが、よく分かる事だろう。
重く感じるのは、時代背景のせいである。
難しいモチーフを利用しているので、重く感じる錯覚を覚えるのだ。

防御効果の高い邸宅から弓を射る。
また邸宅の防御効果を打ち消す為に、回り込み火を放つ。
その火は拡大したり、鎮火する。
回復と調略により、形勢はある時突然、逆転する。
そうした京の戦いを横目に、全国からは援軍の各勢力が上洛してくる。

加えて、英傑たちのエピソードや思い入れが、盤面を奏でる。
これがこのゲームのプレイ風景となる。

-今後のウォーゲーム日本史への希望など-

このゲームは、2011年11月27日に行なわれたイベント会場で、お披露目があった。
何組かのプレイがなされていたのであるが、プレイ中の会話も多く、楽しいひと時となった。
特に『ウォーゲーム日本史』クラスのゲームは、こうした会場での体験プレイに適している。
一度インストしてもらうと、プレイアビリティも良いからである。

今回、カードドリブンに代わるものとして、氏族という概念を導入し、ゲーム性を持たせている。
またその事で、本格的にソロプレイが可能となった。
実はシリーズ全般の特徴として、この点はかなり重要ではないかと思っていた。

特にマイナーテーマである場合、対戦相手を探すのに苦労する事も多い。
逆にマイナーテーマであればこそ、雰囲気など知るには最初はソロでも構わない。
そこからいろんな事を調べ出し、次へ繋がっていくものである。
調べているうちに、同じ興味を持っている方々と知り合い、対戦へ持ち込む可能性もある。
ここが『ウォーゲーム日本史』のポジションではないかと感じている。

最後になるが、先日、先行公開のイベント会場で、中嶋真さんとお話しする事ができた。
やはり、マイナーテーマのゲーム化のプロである。いろんなお話しをする事ができた。
まだまだ貪欲に、ゲーム化できそうなテーマを、多く持っていそうだ。
そうした貴重なテーマを、今後も継続して展開して欲しいと思う。

2011年12月21日、次の大河ドラマと共に、この時代がメジャーになって欲しいと願う。



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